氷菓子と冥
なぜ、こんなに苦しまなければならなかったのだろうか…。
先日の昼下がり、買い物先で人酔いにあってしまい、何とか自宅に帰ってきた私。
自分の病気がまだ予断できない状況にあることは分かっている。恐らく、疲れと久し振りに人が多いところに出た影響もあったのだと思う…。
自宅で横になり、目を閉じたときに見た光景というのは、そこにさらに追い打ちをかけるようなものだった…。小学生の子供のころから最近に至るまでの、数々の刃が刺さってきた思い出だったから。
小学校の学年が上がるにつれ、私は周囲の男子とは違って見えたのであろう。
休み時間に大概の男子は校庭に飛び出していき、サッカーなどをしていた中で、私は教室や図書室で本を読んだり、校庭やテラス(うちの学校にあった、上履きのまま出られる大きなベランダのような場所)で空を見上げたりしていた。
「気持ち悪いんだよ!」(具体的に言ってほしい。直したところで別の点を言ってくるだろうが)
「臭いんだよ!」(清潔には親が人一倍うるさかったほどだ)
「近寄るなよ!」(同じ教室なんだからどうしようもない)
教室では、女子の中でもマウントをとっていた女子グループに散々言われ、それがもとで教室での場所を失い、自分の場所を失って逃げ込んでいたのが図書室。
夕焼けの中、誰もいなくなった通学路をひとりぽつんと、とぼとぼ歩いていたことを今でも思い出せる。
でも、そのことを親に言ったところで、学校を休むことは昭和の当時、今のように理解はされなかったと思う。だから家にもあまり帰りたくなかった。
その頃から、空の上の世界を夢見てしまったり、妄想の世界に逃げ込んだ。(それが今の執筆につながっているのかもしれないが)
中学になって、受験を迎えた3年生。親の仕事の関係と、私の進路希望(結局職業として叶うことはなかったけれど)の関係で帰国子女として過ごした約半年。
それまで英語100%の学校の中で授業をしてきたのだから、長文読解やリスニングは生活の一部だった。その分、日本史などは本当に苦手だった。
でも、日本の受験生にとっては、そんなマイナスを見ることはせず、英語で高得点を取ってしまう自分への嫌がらせも多くあった。
周囲からは「メジャー」と呼ばれたし(体育も苦手だったので、あえてそう呼ぶのだ)、上履きを切り刻まれたりもした。(ここまでくると器物損壊だ)
担任からも高校選びではひどい言葉がかかった。
私が私立一本で〇〇●●大学高校(付属高校)を目指したのは、●●大学で行きたい学部があり、そこを目指すためだ。
公立高校の志望校をいつまでも書かなかった私に、「お前は馬鹿か」と言われたこともある。
「12月にある内申書無しの入学試験で落ちたら考えます」と答えた。
その試験は、毎年中学から30名ほどが受け、半数近くが合格し、それを滑り止めとするのが常だったが、その年は違って、校内での合格者はわずか3名。その一人が私だった。
先生は黙ったが、今度は生徒が「いきなり入って来た奴がさっさと第一志望を決めるとは生意気」という空気の中で過ごさなくてはならなかった。
中学の卒業証書さえもらえればそれでいい…。そのためだけに通ったようなものだ。
次は高校3年で、●●大学に進学が決まったとき、海外で同学年の家族からのマウントがあった。
彼らは△△大学の経済学部に入学したと報告してきた。おたくは●●大学ですよねと。
大学全体の知名度で言えば敵わないだろう。しかし「●●大学の『理工学部』です」と言った瞬間、空気は変わった。(人力飛行機分野でも名門であり、宇宙エレベーターに関しては国内でもトップクラスの研究をしている。そんなところに私が入った。経済学で理論を研究するよりか、こちらは実際にモノを作ることができるのだから)
それは親世代の方が痛烈に感じたようで、それ以来接触はなくなったという。
大学時代は、留年もしたが同時にバブル経済がはじけ、社会が「失われた20年」の真っただ中。
仕事をしながら、息抜きでこういった執筆活動を続けているうち、今度は趣味の世界でもいろいろ言われるようになってきた。
ペンネームが気に食わない。男のくせにそこまでしてPVが欲しいのか? 恋愛しか書けないのか?
そんなメールも舞い込んだ。
つまり、汐希というペンネームが気に食わないという。
以前にも話したように、確かに男女兼用に使用できる名前で、キャラクター名候補の中から自分で使用を決めた名前であることには違いない。
ただし、これは私が気が落ち込んだ時に心の疲れを落とすために出かける海に汐の文字を当てはめ、そこから少しでも希望が見つけ出せたらという、ある意味絶望の中から作り出した名前だ。
そこにまで文句を言われてしまったら、本当に私はこの先どこに行けばよいのか??
もう、正直、どうしてよいのか分からないときがある…。
ペンネームを変えるつもりも、作品路線を変えるつもりもない。
そんな刃が向けられたとき、私ができることは……、もう…泣くことしかないのかもしれない…。
駄文にお付き合いいただきましてありがとうございました。
タイトルについては、ちょっとした謎かけにしてあります。