初めて、ブラック企業の経営者である社長に感謝した日。
その日僕は会社に1人残り、社長の命令で残業代の出ない残業を行っていた。
社長が会計課の僕にポケットの領収書を渡し忘れたせいなのに。
1枚1枚領収書の金額を確認しながらパソコンに数字を打ち込んでいたら、パッと電灯が消えパソコンの画面が真っ黒になる。
と同時に、山を挟んで反対側にある街の方角から眩しい光が押し寄せて来て、その眩しい光の後に続いて凄まじい轟音が響いて来た。
な、なんだ? 雷か?
窓際に近寄った僕の目に映ったのは、山の反対側にある街から立ち上がるキノコ雲だった。
あ、あれって、か、か、核爆発?
数週間くらい前から海の向こうの同盟国と西の独裁国が緊張状態になり、僕達の国も巻き込まれる可能性が高いって新聞やテレビのニュースで言ってたけど、ほ、本当に起きるなんて……………………。
ハ! ボーとしてる暇なんて無い。
逃げなくちゃ、って、何処に逃げよう?
そう言えば以前部署の先輩が、会社の地下に社長が核シェルターを所有していて社長室から直通エレベーターで行けるって話していたな。
先輩はエレベーター脇の階段を使って荷物の搬入をさせられたらしいけど。
社長室のドアを蹴り破り見渡す。
エレベーターの扉の脇に暗証番号を打ち込む機械があった。
ダメ元で社長の愛人の誕生日を打ち込む。
良かったぁー合ってた、エレベーターの扉が開く。
なんで社長の愛人の誕生日を知ってるのかって言うと、社長が新しい愛人に乗り換える度に車も買い換えナンバーを愛人の誕生日にするからなんだよ、この事は社員全員が知ってるんだ。
会社に残っていた女性達を連れ共に核シェルターに逃げ込む。
核シェルターの中にあった幾つもの倉庫には食料や生活必需品などが大量に備蓄されていて、僕1人なら100年以上は持つと思う。
だから僕はその日、会社に入社してから初めて社長に感謝した。
核シェルターに逃げ込んでから10年、僕は今共に核シェルターに逃げ込んだ女性達とハーレム生活を楽しんでいる。
会社の商品であったリアルドールの女性達とのハーレム生活を。