チョコ作りたいな
「無性にチョコ作りてぇ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「お前には原料がお似合いさ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「どういう意味? 生チョコ飲めってか?」
「いや、カカオかじれって意味」
「んーもう。私の食事の水準が低すぎるだろ」
「言い過ぎたわ。ごメンカタメ」
「むかつくわぁ。なんでチョコの話してんのにラーメンなんだよ」
「無性にラーメン作りたいな」
「知らねぇよ、勝手に作ってろ。チョコだよチョコ」
「そっちこそ勝手に作ればいいじゃないのよ。ちなみにホワイトだとなお嬉しい」
「なんでお前にあげる形で話が進んでるのだ。あたしが食うんだよ」
「ケチが。虫歯になってしまえ」
「他人の発病を願うな。お前こそホワイトチョコで虫歯になれ」
「いや、ホワイトなら虫歯にならんでしょ」
「お子様! 発送がお子様のそれ! 10年ほど前からやり直してこい」
「やり直したいよ……やり直せるならね」
「急に重いな。まあ、元気だせよ」
「チョコやるから」
「勝手に台詞の続きを改変すな。まあ、一緒に作るならやらんこともないが?」
「じゃ、いいす」
「ものぐさぁ。怠惰の化身めが」
「チョコ作成に二人も人員割かんでいいでしょ」
「どこの現場? いいからやるぞ。一時間後に準備してあたしんちな」
「しゃーないな。極太持ってくか」
「ラーメンじゃねぇよ」
二人は喫茶店をあとにした。