ソース飛んじゃった
「やべっ! 服にソースの飛沫が付いてしまった!」
角のとがったデビルの少女が言った。
「説明台詞ありがとうございます」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港の喫茶店に二人の姿はあった。
「いや、そこはスルーでいいだろ。ほらあの……形式的にさ」
「ああ、まあ形式的にしかたないわね」
「そうそう。じゃなくて、どうするよこれ?」
「いいんじゃない。オシャレなワンポイントって感じで」
「ポジティブ!! 前向き過ぎて恐怖を感じるな。つーかワンポイントは無理があるだろ」
「じゃあ、ツーポイントにしましょうか」
「増やすな増やすな! 完全にアタシの服を汚したいだけだろ」
「そうよ。合法的にね」
「アタシの尊厳が迷子。世界中に探すよう促してくれ」
「ないものは探せないでしょ」
「よし、来世に期待だな」
「あんたの方がよっぽどポジティブよ」
「話は戻る。このソースどうするよ」
「恥を捨ててこの場で脱ぐか、恥に耐えながらこの場で脱ぐかの二択ね」
「なるほど、実質一択だな。断固拒否します」
「流石。最低限の常識はあるようね」
「お前のあたしへのレビューどうなってんだよ」
「五段階評価で、5ね」
「皮肉。皮肉で最高値つける嫌なやつのパターン」
「バレたか。まあ、あたしんちで洗濯してあげるわよ」
「おっ、マジか。ありがたい」
「はい。じゃあ今脱いで」
「だから脱がねぇよ」
二人は喫茶店をあとにした。