花言葉にさ
「最近、花言葉にハマっててさ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「甚だしい奴だ……今の8点ね」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「添削早ぇ! 自分で自分のギャグのレビューすんなよ」
「いやーお恥ずかしいかぎりで。流石に今のはないわね」
「まあ、お前自信が8点つけるくらいだしな」
「そうね。10点満点中だけど」
「高得点じゃねぇか! 自己評価高過ぎだろ」
「バカ野郎! 勝者は常に満点でなくてはならんのだ!」
「黙れ負け組。そうやって、自惚れてばかりだから、いつまでも勝者になれんのだぞ」
「物事を優劣でしか判断できなくなったらおしまいよ」
「きたねぇ! 自分だけ高尚なポジションに移動しやがった」
「ハッハッハッ! いつまでも足元から吠えてろ劣等種よ!」
「めっちゃ優劣つけるやん。なんなんだお前は」
「カス」
「……もう自覚があるのかないのか分からんわ。花言葉! ハマってるって話だよ」
「知らねぇよ。ついでに落とし穴にでもハマっとけや、カス」
「カスが花言葉の花といえばだな……」
「広げる気か? そこから?」
「マジシャンズローズだな」
「知らねぇ。急に専門用語ださんでよ」
「その花は枯れると、カスみたいになるのが由来だ」
「由来がひどすぎる。だいたいの植物はそうなるでしょうよ」
「あたしらもだろうが!」
「急にシビヤすぎるわね。もっとこうロマンチックなのはないの?」
「あるよ。バイオレンスチューリップ」
「また知らんわね。花言葉は?」
「永遠の愛」
「……そこは"カス"でかぶせてこいよ」
二人は喫茶店をあとにした。