バイトの疲れがさ
「あーヤバいな、バイトの疲れが」
角のとがったデビルの少女が言った。
「疲労を披露、ってか? つまんねぇな」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「いやいや、そんなこと言ってねぇだろ。お前の自己完結じゃん」
「つまんねぇのは事実だろ、その話題が」
「辛辣だなぁ。なんかやなことあった?」
「いやぁね、バイトの疲れがヤバくてね」
「同じ! 同じつまんねぇ話題!」
「自分でつまんねぇ言うなよ。悲しくないのか」
「お前が先に言ったんだろ。てか、お前ってバイトしてたのか?」
「あー、そういう設定とくに決めてなかったわね」
「設定っていうなよ。何の仕事してんのさ?」
「えーじゃあ、ブライダル関係で」
「雑! そして嘘!」
「バレたか。まあ、雑貨屋の手伝いとかでいいや」
「投げやりだな。まあ、お前のバイトよりも私のバイトの話だよ」
「何やってんの? 雑貨屋の手伝いの手伝いとか?」
「おい! 勝手にお前の管轄に入れるなよ。レストランの店員だよ」
「あーそういう感じの設定でいく?」
「だから設定って言うなや。いやー基本立ち仕事だから足が痛くなっちゃってね」
「ふーん、そう」
「興味! 食い付きの落差激しすぎだろ」
「いや、もともと食い付いてないから」
「なんて奴だ。まあ、疲れたときは甘いもんだな」
「そうね。店員さーん! 担々スープふたつで!」
「話効いてた?」
二人は喫茶店をあとにした。