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荷物がさ
「あっやべ、そろそろ帰んなきゃ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「させねぇよ。へへへ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「何キャラ？ まあ、なんでもいいけど帰るわ。荷物届くから」
「お荷物はお前だろ」
「誰が社会の足手まといだよ。ああ、もうちょ、マジで帰んなきゃ」
「分かった。お供しよう」
「いや、いらんいらん！ 自宅帰るだけだから！」
「いや、何かヤバい荷物だったらヤバいことになりそうでヤバいじゃん」
「ヤバいが渋滞してる！ ヤバい言いすぎて意味分かんなくなってるから！」
「まあ、ヤバいからついてくわ」
「何が？ 現時点で一番ヤバいのはお前の思考以外の何物でもないんだけど」
「よくいうぜ。へへへ」
「だから何キャラ？ ちょ、マジで頼むわ！ 帰らしてくれ！」
「ちょ！ ……私より……荷物が大事なの？」
「めんどくせぇ！！ ここに来てくそめんどくせぇキャラ付けしてきたよ！」
「……あんたを惑わす荷物なんて、放っておけないわ……消してやる！！」
「恐い恐い！ ホラー入っちゃってるから！ 閲覧注意になってるから！」
「あーそれね。怖いものほど見たくなっちゃうみたいな」
「そうそう。押すなって言われると、押したくなっちゃうみたいな」
「まあ、そういうもんじゃない？ 誰だって」
「そうだな……って普通の会話を始めるなよ」
「バレたか。勘のいい奴ね」
「よくて悪かったな。いいから帰らせてくれ」
「いいけど……すぐに……戻ってきてよね」
「二重の意味でめんどくせぇ……」
デビルは喫茶店をあとにした。
