家のそばでさ
「最近、家のそばで爆発があってさ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「家だけにイエーイ! ……的な?」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「いやいや! なにをはしゃいでるのだ。大事故よ大事故」
「まったくだよ。寒いこと言ってんじゃねぇぞ」
「お前だろ。でさぁ」
「ええ……続くの?」
「続くよ! なんだそのクソみたいな表情は」
「ちゃんとオチつくんでしょうね。店内の奴ら全員抱腹絶倒の」
「後半! 後半、謎にハードル上げたな。一応、お前の腹を倒すオチはあるつもりだ」
「ですってよ、皆さーん!!」
「やめろ! 群衆を巻き込むでないわ!」
「まあ、いいから早く話しなさいな」
「わかった。えー……何の話だっけ?」
「はい、賞金没収です。次のチャレンジャーどうぞー」
「待て待て! 何の企画だ?」
「いや、待てはこっちの台詞よ。カスみたいなボケかましてんじゃないわよ」
「か、カス? ……まあ今のはアタシが悪かった。爆発の話だな?」
「次のチャレンジャーは、ホタル村からおこしの……」
「ワンモアチャンス! アタシにチャンスをくれ!」
「えーっ……まあ、いいけど」
「ありがとう。えー……それでアタシは、一体何が起こったのだと外に飛び出したんだよ」
「ほうほう、それで?」
「私は目を疑ったよ。近所の錬金術師の家が煙を上げててさ」
「上げてて?」
「アタシは倒れてた錬金術師に駆け寄ってさ、大丈夫ですか? ってたずねたらさ」
「尋ねたら?」
「なんと、オナラが魔法に引火したんだ! ……って言って、ね……」
「……」
「……」
「……引火したな、お前にも」
「……大火傷だよ」
二人は喫茶店をあとにした。