審美眼をさ
「審美眼を鍛えたくてさ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「じゃあ、目の前の美少女の点数言ってみろ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「5点かな」
「死んでるな。お前の目の死に具合は魚類ナンバーワンだわ」
「事実だろ。受け入れろよ」
「ふざけんな三下評論家。なんだよ5点て? せめて60とかにしといてくれない?」
「ナルシストが。歌自慢の点数じゃねぇんだぞ、お前程度の外見の奴は腐る程いるよ」
「なめるなよ。まだ消費期限内だ」
「期限内でもなめるかよ」
「くそが。そこまでボロクソ言うなら、逆にどこで5点貰えたのかが気になるな」
「服」
「マジかよ。全裸だとゼロ点なのか」
「そうだな。服着ててよかったな」
「むかつく。あんたの身ぐるみ剥いで質に入れてやりたいわ」
「まあ、元気出せよ」
「あんたのせいだろ、元気なくなったの。この節穴野郎」
「じゃあお前はどうなんだよ。アタシを採点してみろ」
「……」
「……」
「……100点、かな」
「ちょっ!? お前……」
「で、中身はゼロ点」
「見てくれだけかよ。ぶっとばすぞ」
「まあ、いいじゃない。一人ではゼロ点でも、二人合わさればさ」
「……なるほど。アタシら二人が合わされば」
「そう……ゼロ+ゼロ」
「ゼロじゃねぇか」
二人は喫茶店をあとにした。