スポーツ観戦にさ
「最近、スポーツ観戦にハマっててさ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「ごめん。興味ないわ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「早い!! 会話切り上げリアルタイムアタック全一かよ!」
「だって、興味ないんだもの。話合わせるのめんどくさいじゃん」
「合わせてくれよ、そこは。パフェのバナナあげるからさ」
「じゃあ、バナナ以外くれ」
「バナナ以外? ……ほとんどパフェじゃん、全部じゃん」
「ダメすか?」
「……」
「いや、そこは秒で断ってよ。不安になるでしょ」
「あ? まあ、いいや。バナナやるから話を聞け」
「バナナいらんから、話せ」
「最初っからそうしろよ。スポーツ観戦だよ、スポーツ観戦」
「へぇ、何のスポーツ? というベタな返し」
「いやベタでいいよ、ナイスクエスチョンだよ」
「どうも。で、何?」
「サッカーだよ」
「はい、バッドアンサー」
「何でだよ! どこがバッドなんだよ!」
「面白みにかけるわ。そこはせめて、ウサギ跳び選手権でしょ」
「何でウケをねらわにゃならんのだ。あとそのウサギ跳び選手権って若干スベってるし」
「言うなよ。恥ずかしい」
「知らねぇよ。で、お前はサッカーとか興味ないの?」
「あるわよ。あんたの私生活と同じくらい」
「それ、ないのと同義だろ」
二人は喫茶店をあとにした。