雨多いな
「最近、雨多くね?」
角のとがったデビルの少女が言った。
「マジで? 基本、インドアだから気づかんかったわ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「……」
「……」
「普通!! お前にしては返しが普通すぎる!!」
「そう?」
「そうだよ! 何その、インドア系女子あるあるな返答! もっとぶっ飛んだやつをくれよ! 後生だからさ!」
「どんだけだよ。え? ぶっ飛んだやつ? 例えばどんな感じの?」
「え? 例えば? うーんと……」
「死ねぇえ!! ……とか?」
「びっくりしたぁ、いや、それはぶっ飛んでるけど、雑過ぎだろ」
「粗削りだが、勢いのあるプレイング的な」
「確かに勢いはあるが、それをもってしてもカバーできてないからね、粗さを」
「あっそう。じゃあ……まるでお菓子の宝石箱かい!」
「ん? どういうこと?」
「いや、"アメ"だけに」
「うーん。ちょっと回りくどくないか? 受け取り手に秒でも理解に要する時間を与えしまうボケは、いかがなものか」
「なかなかにビターな審査ね。さながら、コーヒーのように」
「言ってるそばからやめろ。何? 気に入ったの、その例えボケ?」
「いや、今ちょうど飽きた」
「そうかい。まあ、いいや。とりあえず外遊びは無理そうだな。この後どうする?」
「うーん……私の家でボードゲームとか?」
「おっ、いいね!」
「まあ、一個も持ってないけど」
「ねぇのかよ! ……いいよ、トランプでも買ってこうぜ」
「そうね」
二人は喫茶店をあとにした。