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未だにさ
「未だに、時々思うんだよ。ケーキ屋さんになりたいって」
角のとがったデビルの少女が言った。
「じゃあ求人探そうか」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「現実的……もうちょっと、夢のある感じの返しないかい？」
「夢は見るもんじゃなくて叶えるものよ」
「おぅ……そうれを言われちゃ、何も言い返せんな」
「キザなこと言ってんじゃねーぞ！」
「言ったのはお前だろ。急に何？ あんまり叫ぶなよ、迷惑だから」
「ごめん。あまりの恥ずかしさに自分にブチ切れてしまったわ」
「特殊だな。天然記念物的、特殊な感情表現だな」
「ごめん、何か漢字多くない？」
「自分で言ってて思ったよ。じゃなくて、夢の話だよ。小さいころの夢」
「小さい？ 何が？ 心？」
「いや、心は今でも小さいよ。あーもうクソ！ 言い方変えるわ、幼かったころだよ！」
「幼い？ 何が？ 精神？」
「うん。一発はたいていいか？ 歯ぁ食いしばれ」
「いいわよ、私のオーラに触れた攻撃は全て自分自身に跳ね返っていくから」
「何、そのチートじみた後付け設定。エルフってそんなんだっけ？」
「エルフにも色々いるからね。ダークエルフとかゾンビエルフとか」
「なんで例にあげるのが闇属性ばっかなんだよ。あーもう、とにかく私が言いたいのは」
「あの頃に思い描いた夢を、今でもふと思い出して、ノスタルジーにひたっちゃうよね、でしょ」
「勝手にまとめちゃったよ！ ……まあ、間違ってないけど」
二人は喫茶店をあとにした。
