脚力をさ
「なんかあれだな、脚力を鍛えたいな」
角のとがったデビルの少女が言った。
「いっーきし!!……ズズっ」
耳のとがったエルフの少女がくしゃみをした。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「ええ……」
「失礼しました」
「テイク2かい?」
「いや、このままいける」
「いくのかよ。まあいいけど」
「よし! ……なんだっけ?」
「脚力よ。脚力を鍛えたいの」
「結構ねアレよね最近」
「え?」
「やっぱ、肌寒くなってきたから」
「いやそれくしゃみの話だろ」
「そうね」
「そうねじゃねぇ。脚力の話だ」
「鍛えてどうするか、が大事ね。目的を明確にしないと」
「随分まじめな返しだな。変なものでも食ったか?」
「確かに昨日、海外物産のフェアで買ったクッキーを食べたわね」
「マジかよ。確かに普段は口にしないものだな」
「いうて普通のクッキーだったわね。少し甘みがくどかったけど」
「アタシも前に海外のまんじゅう?みたいの食ったぜ。合わなくて腹下したけど」
「えぇ、それは大変だったわね。合う合わないってやっぱあるのね」
「あれは災難だったな。あんまり量買わないよう気をつけないと」
「そうねー……」
「……」
「……」
「……ズレたな」
「……ズレたわね」
二人は喫茶店をあとにした。




