とうもろこしにさ
「最近、とうもろこしにハマってんだ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「それは“コーン”グラチュレーションね」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「……」
「……」
「……特にあれだな、焼きとうもろこしがね」
「おい」
「はい。なんすか?」
「触れろよ」
「いや火傷したくないんで」
「焼きとうもろこしだけに」
「くぅーっ!うぜぇ」
「ウザすぎ。さながらウザ杉先生ね」
「誰だよ。絶対生徒から嫌われてるだろ」
「生徒には慕われてるわよ。なお他の教員からは……」
「やめろやめろ。余計悲しいわ」
「まあ、とうもろこしとは関係ない話ね」
「ホントだよ。変な造語をぶっこんでくるな」
「失礼。私もとうもろこしには一家言あるわよ」
「はあ? 初耳だぞ」
「基本、三食とうもろこしよ」
「食いすぎだろ。ちゃんとバランス考えて食えよ」
「冗談よ。流石に朝からとうもろこしは入らないわ」
「意味わからん。朝こそとうもろこしだろ」
「朝はハンバーグドリアね」
「重いだろ。夕食じゃねぇか」
「朝昼兼用ね」
「そりゃ朝から食いすぎだからだろ」
「なんかお腹へってきたわね、あれ頼もうかしら」
「何?」
「ベー“コーン”サンド」
「もうええわ」
二人は喫茶店をあとにした。