時をさ
「もし時を止められるならどうする?」
デビルの少女が言った。
「あの頃にもどりたいわね」
エルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「全然話聞いてないな。時を止めれたらっつてんだよ。誰も戻すとは言ってないわ」
「いかに日頃からあんたの話を話し半分で聞いてるかが分かるわね」
「ふざけんな。ちゃんと聞け」
「分かったわよ。何? 時を止められたらどうするかって?」
「止めたらだ。お前が止められる側のケースは聞いてねぇ。第一、止まるんだから何もできんだろ」
「時を止められるまでが勝負所ってわけね」
「いやだから何でお前が受ける側なんだよ。あと何と戦ってる?」
「シャドーボクシングって奴ね」
「微妙にちがうだろ。まあいいや、時を止められる前にどう対策する気なんだ?」
「簡単よ。こちらが先に時を止めればいいのよ」
「なんにも簡単な要素がないのだが。お前も時を止められる前提なのかよ」
「当たり前でしょ。当たりマエストロよ」
「誰だよ」
「もうあれよね、視界に入った瞬間どっちが先に能力発動できるかよね」
「最終的には本人の反射神経が勝敗を分ける訳か。熱いな」
「熱いわよね。熱インプラントね」
「なにそれ、気に入ったの?」
「いや。何でインプラント出てきたのよ」
「お前だろ」
二人は喫茶店をあとにした。