怪物になったら
「もしもアタシが怪物になったらどうする」
角のとがったデビルの少女が言った。
「あんたもう怪物みたいなもんでしょ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「確かにデビルは怪物と言われてもしょうがないな」
「いや怪物も怪物。デビルとか超怪物でしょ」
「やめーや。デビルを怪物扱いするな」
「そうね。デビルと同等に扱われる怪物がかわいそうね」
「流石だね。隙あらばデビル下げ、ぬかりないね」
「下げられて喜んでどうするのよ」
「ほんとさ。デビルをバカにしやがって」
「ごめんちゃい~」
「うぜー。いうてエルフも怪物だろ」
「エルフは怪物というかアレね」
「なんだよ?」
「神」
「なーんも関係ないっ。自分を上げすぎだろ、ふざけんな」
「デビルごとぎが神に逆らうか」
「うるせぇ。神は耳とがってねぇよ」
「確かに」
「納得した!?」
「じゃあ神はやめとくわ。もっと手頃なやつでいいわよ」
「なんだ手頃なやつって。お前なんざ羽虫でいいだろ」
「羽虫をバカにすんなよ」
「羽虫扱いされたのはいいのか」
「羽虫も集まれば、怪物倒せそうじゃない?」
「じゃない?と言われてもな」
「必殺! 羽虫づくし!」
「つくしたくねぇ。ある意味必殺だな」
「かなりダメージよね。精神的に」
「もう羽虫の勝ちでいいよ」
「誰が羽虫じゃ」
「おせぇよ」
二人は喫茶店をあとにした。