音楽鑑賞をさ
「最近、音楽鑑賞にハマっててさ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「では失礼して、ここで一曲聞いてください」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「いや、なんでお前の歌を鑑賞せねばならんのだ」
「ヘイヨー! 高尚な歌を鑑賞!」
「まさかのラップ。しかもクソだせぇ」
「ダサかっこいいってやつね」
「ダサダサいだよ。ダサいの二乗だよ」
「ヘイ、二乗の感情!」
「うるせぇ。意味もよくわらんし」
「いや、ラップはムズいわ。なにさしてくれてんの」
「誰も強要してないだろ。どんな話の流れだ、アタシがハマってるジャンルとか聞けよ」
「クラシックとか?」
「ほらすぐ当てる」
「当てちゃ駄目のなのね」
「いいけど、もう少しタメをだな。まあ、クラシックにハマってんだよ」
「へー」
「終わった! 興味無さすぎんだろ」
「あるわよ。ラップぐらいある」
「ねーじゃん。つーかさっきのラップ扱いすな。ラッパーに袋叩きにされるぞ」
「ラッパーだったら、拳よりラップで勝負するんじゃないの?」
「ああ確かに。すまんラッパーへの理解が足りなかった」
「足りない理解! それでいいんかい!」
「だからラップじゃねぇだろ。さっきよりひどい! 来やがれ一昨日!」
二人は喫茶店をあとにした。