隕石降ってきたらどうする?
「もし、隕石が降ってきたらどうするよ?」
角のとがったデビルの少女が言った。
「立ち向かう」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「お前はなんだ? スーパーヒーローかなにかか?」
「ヒーローじゃ無理でしょ。せめて巨大ロボットじゃないと」
「ロボットでも無理寄りだと思うが。まあ前向きなのはいいことか」
「まあ、立ち向かったとこで阻止は厳しいから。おだぶつね」
「諦めてる! 全然前向きじゃねぇ」
「まあ、あれよね。隕石が振って来てる時点で手遅れでしょ」
「隕石が振ってきた場合の話なのに、そこを否定するのか」
「隕石が振ってこないために何ができるか、考えるのが重要ね」
「知らんわ。何を自己啓発じみた発言してんのじゃ」
「じゃあ、あんただったらどうすんのよ? まあ、諦める以外ありえないけど」
「勝手にアタシの意思決定をするな。まあ、ぶっちゃけ世界の終わりだからなー……」
「おい、私と同じこと言ってる」
「世界が終わる日にどう過ごすか。やりのこしたことをするか」
「やりのこしたこと? 金貨でいっぱいの風呂に入るとか?」
「アタシは何キャラだ。むしろその金貨で買い物したいわ」
「世界の終わりに何買うのよ?」
「えー……高級な風呂とか?」
「……」
「……」
「……オチない、隕石より落ちないわね」
「……平和でなによりだ」
二人は喫茶店をあとにした。