目がかゆいんだが
「うー目がかゆいぜ」
角のとがったデビルの少女が言った。
「もっとこすった方がいいよ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「ダメだろ。なんだそのカスみたいなアドバイスは。悪化しちゃうだろ」
「いや別にあんたの目だからいいかなって」
「お前がよくてもアタシがよく……いや心配をしろよ。大丈夫?のひとつも言えんのかお主は」
「大丈夫」
「?をつけろよ。大丈夫じゃないんだよ。完結させるなよ」
「いや結局大丈夫なんじゃないの。じゃあ大丈夫じゃん」
「もう大丈夫を言いすぎて、何がどう大丈夫か分からなくなってきたな」
「ちょっと大丈夫ネタを擦りすぎたわね。目じゃなくて」
「いや全然うまくねぇ。つーか目は擦っちゃだめなんだよ」
「あれなんか、ないの薬とか?」
「目薬か? 薬屋行かんとないな」
「じゃあアロエでも塗りましょうか」
「アロエはそんな万能じゃねぇよ。目にしみすぎだろ」
「良薬は口に苦しよ」
「目だっつてんだろ。なんでわざわざそんな粗治療せんといかんのだ」
「そもそもなんでかゆくなったのよ」
「知るかよ。バイ菌でも目に入ったんじゃねぇの?」
「誰かバイ菌じゃ」
「言ってねぇよ。目に入ったてのは物理的な話だから」
「まあとりあえず応急処置として」
「なんだよ」
「アロエヨーグルト頼みましょ」
「なんの処置なんだ」
二人は喫茶店をあとにした。