世界の半分をさ
「世界の半分をもらえるってなったらどうする」
角のとがったデビルの少女が言った。
「ハーフアンドハーフね」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「はぁ? 世界とハーフと……世界のハーフ?」
「まあ、全世界ってことで」
「いやおかしいだろ。半分もらえたらって話だ」
「いやいや半分なんてそんな。全部よこしなさいな」
「やベーなお前は。半分渡すって言った奴も頭抱えるだろ。やべー奴に話もちかけちゃった〜って」
「そうは言っても、自身の発言には責任をもってもらわないと」
「だから半分だと言ってるだろ。捏造するなよ、かわいそうだろ」
「分かったわよ、取り敢えず前金で世界の半分もらうわよ」
「もういいよそれで。で、どうする? 世界の半分は思いのままなわけだが?」
「そうね……エルフ日でもつくりましょうか」
「まーたワケわからんぞ。何すんだよその日?」
「お祭りとかでいいんじゃない?」
「とかって何だよ。祭りで何すんだ」
「出店ね。くじ引きとか」
「あーいいんじゃない。面白そう」
「1等はなんと……世界の半分!」
「なんでだ!? せっかくもらったのにあげちゃうのかよ?」
「いや、前金じゃない方のやつ」
「……もう元の世界の持ち主は泣いていいな」
二人は喫茶店をあとにした。