明日やるわ
「あれ、めんどくせーな。明日でいっか」
角のとがったデビルの少女が言った。
「どうせなら明後日にしろよ」
耳のとがったエルフの少女が言った。
港町の喫茶店に二人の姿はあった。
「どうせの意味がわからん。というか普通だったら、今日やれよ、とか言って咎めないかい?」
「私が言って説得力があるとでも?」
「うん、ない」
「でしょ? じゃあ、明日でいいんじゃないの?」
「いやーダメだね。ダメな奴の助言なんざ鵜呑みにできんわ」
「じゃあ、今日やれよ」
「今日はめんどくさい」
「あんたの方がダメな奴だろ。そもそもあれって何よ?」
「風呂掃除」
「あーダメだね。それはダメだね」
「やっぱ早めにやった方がいいかね?」
「いや、ダメだね。めんどくさくてダメだね。明日でいいよ」
「そっちのダメ? ダメな方のダメ?」
「ダメな方のダメだね、いやダメだめ」
「いや最後おかしいだろ、無理矢理ダメを稼ぐなよ」
「ダメを稼ぐと何が貰えるの?」
「え? ダメ……ダメージジーンズ?」
「うわ、つまんな」
「お前の差し金だ。私は滑ってないわ」
「滑りっぱなしでしょ。ジーンズより傷だらけよ」
「何をうまいことを。もういいよ、帰ったら風呂掃除やるわ」
「それ、やらないフラグでしょ」
「そうだよ」
二人は喫茶店をあとにした。