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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
統一

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金持ちだな……

 将軍足利義輝の要請を受けた長尾景虎は主力の兵5000を率い、京へ出発。


真田幸隆「殿。如何なされます。」

私(村上義清)「いや、時期尚早である。」

真田幸隆「まぁ越後に思い入れがあるわけではありませぬし。」

私(村上義清)「勿論景虎が居ないからと言って、越後がもぬけの殻ではないし……。」


 しばらくして。


真田幸隆「近江で足止めを喰らっているのですか……。」


 将軍義輝を傀儡として扱っているのが実力者三好長慶と松永久秀。彼らにとって義輝の要請でやって来た長尾景虎は迷惑この上ない存在。しかも兵5000を率いてともなれば警戒されても仕方のない話。そんな状況にあっても長尾景虎は……。


真田幸隆「留め置かれた坂本でのんびりと構えている……。」

私(村上義清)「『三好・松永を討伐せよ』では無いと言う事かな。」


 長尾景虎は坂本からほど近い比叡山を訪問。


春日虎綱「(長尾景虎は幼少期)曹洞宗の寺に入っていたと聞いておりますが……。」

真田幸隆「京に入る時、必ずあそこの麓にある狭い道を通らないといけないからさ……。」

 

 イベントを行う際、警察など関係する様々なところに挨拶するようなものでしょうか。


春日虎綱「その際は……。」

私(村上義清)「勿論金銭を収めることになる。」


 その後、景虎は京に入り、朝廷や将軍などと面会したほか、大徳寺など神社仏閣にも参詣。その中で注目を集めたのが……。


真田幸隆「本願寺ですか……。」


 本願寺は、景虎の父為景の代から抗争を続けている相手。


私(村上義清)「さすがに本人が参詣してはおらぬが使者を立てておる。勿論全ての相手に多額の寄付をしていることは言うまでもない。」

春日虎綱「越後を治めることを考えた場合、本願寺と和睦するのは……。」

真田幸隆「景虎にしては消極的でありますね。」


 そして最後に訪れたのが高野山。全てを終え、その成果は……。


私(村上義清)「主の居なくなった越後の守護に就任することは理解することが出来る。それに上杉を継ぐこともわからないことではない。こちらにとって幸いなのは父為景が持っていた信濃守を保持していないこと。……しかしこれはいったい……。」


 長尾景虎が将軍足利義輝から授けられたもの。それは……。


真田幸隆「……関東管領……。」

私(村上義清)「それで(山内上杉)憲政が景虎に会えと言って来たのか……。となると管轄することになるのは……。」


 本国越後と関東全域。更に……。


真田幸隆「……甲斐も。でありますか。」

私(村上義清)「長尾景虎が北条氏康とその同盟者である武田義信と戦うことを将軍が公式に認めた。それを本願寺も追随した。つまり越後国内で一向宗が景虎を邪魔することは無い。景虎は北条討伐に専念することが出来ることになった。……どんだけ金積んだんだよ。あいつは……。」

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