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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
統一

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そんな状況にもかかわらず

 上杉家の不幸はこれに留まらず。長年越後の守護を務めていた上杉定実が病死。守護代長尾為景の傀儡として擁立され、それを嫌って排除に乗り出すも敗れ。影響力を更に失う形で和解。その後、実の子供が無かったため、陸奥伊達家から養子を迎え入れよう。為景も後押ししてくれている。向こうも了承してくれた。準備万端。あとは迎え入れるだけ。となったところで伊達家がお家騒動。後ろ盾でもあり人形の如く操り続けて来た為景が死去。怖い奴が居なくなったと越後国内が騒ぎ出す。そこで出て来たのが為景の次男の長尾景虎。彼の力により、やっと越後に落ち着きが取り戻された。と思った矢先の死去。その跡を継ぐことになったのが越後沈静化の立役者長尾景虎。


私(村上義清)「……毒殺じゃね?」

真田幸隆「……それは言わない約束。」

私(村上義清)「お前の得意技の1つだろ。」

真田幸隆「山歩けば作ることは出来ますが、同じ信濃の人間相手に仕掛けても当然わかってしまいますので。」

私(村上義清)「……俺のこと?」

真田幸隆「殿はまだ利用価値はありますのでご心配なく。」

私(村上義清)「『大丈夫』と同じぐらい信用出来ない言葉なんだけど。」

真田幸隆「確かに。」

私(村上義清)「確かにって……。」

真田幸隆「殿と同じことを思ったものは越後国内にもいまして……。」


 上田長尾氏の長尾政景が景虎に対し反旗を翻すも鎮圧。


真田幸隆「越後は今。落ち着きを取り戻しております。」

私(村上義清)「もし伊達から無事。養子を迎え入れることが出来ていたら……。」

真田幸隆「(養子の予定だった)伊達実元は20代の前半。」

私(村上義清)「景虎とほぼ同年代。」

真田幸隆「ただ養子縁組が予定された次の年に為景が亡くなっていることを思いますと、今の落ち着きを期待することは……。」

私(村上義清)「当時(実元)はまだ元服直後の年齢で、しかも全く知らない土地。」

真田幸隆「それ故、実元の父稙宗は伊達家の精鋭を一緒に付けようとしたのでありましょう。ただそれが原因となってしまいまして……。」


 伊達領内の弱体化を懸念した実元の兄晴宗が稙宗と対立。東北全体を巻き込む大騒乱へと発展。養子を送り出すことが出来る状況では無くなってしまったのでありました。


私(村上義清)「それはそうと今は落ち着いているとは言え、直前まで揉めていたんだよな越後は。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「しかも守護が不在。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「その代行として景虎は就任したばかり。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「加えて隣国上野の山内上杉は風前の灯火。」

真田幸隆「ええ。」

私(村上義清)「この状況で……よく国空けて上洛出来るよね……。」

真田幸隆「攻め入るのですか!?」

私(村上義清)「……それは考えていない。」

真田幸隆「将軍様の要請があったとは言え、いまいち目的が見えて来ませぬ。もし殿でしたら。」

私(村上義清)「(幸隆に乗っ取られることが目に見えているので)丁重にお断りさせていただきます。」 

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