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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
焼討

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転勤

私(村上義清)「今、近江に居る信長の家臣は落ち着き次第美濃に戻るのか?」

春日虎綱「どうやらそのまま残るようです。」

私(村上義清)「長い出張になるな。」

春日虎綱「いえ。そこに定住する運びになるそうです。」

私(村上義清)「家はどうするの?」

春日虎綱「信長から『引き払え。』と言われています。」

私(村上義清)「いいの?」

春日虎綱「信長の家臣は、清州から小牧山。更には岐阜へと当主の移動に合わせ移り住んで来ましたので慣れてしまっていると言えばそれまでの事でありますが、それ以上に信長含め織田家中に土地に対する執着心が薄いのかもしれません。先程も述べましたが美濃と尾張の国境地帯は大水害地帯で稲作には向いていませんし、大水の度に流路が変わります。今ある土地が次の日には修復不能な状態になっている事もざらであります。恐らくでありますが、今度彼らが任される場所の方が故郷よりも良い条件である可能性が高いと言わざるを得ません。

 加えて、尾張の。それも大水に悩まされる場所で桑が植えられています。桑は多年生でありますので、稲に比べ手間が掛かりません。その桑から絹織物に至るまでの過程の全てを奥さんが担っています。旦那は基本暇であります。一年中。そのまま暇にさせてしまいますと、社会の不安定化に結び付いていしまいます。某か仕事を創出しなければなりません。幸いにしまして津島や熱田などの港湾荷役や港町や城下町で様々な仕事があります。しかしそれだけですと楽しみを求め、違法な賭け事に励むなど荒んでしまう恐れがあります。

 何か別の刺激を。それも今の立場を脱却する事の出来る。しかも自らの腕っ節1つで。と考える者も出て来ます。彼らの欲求と信長の『尾張産の絹織物を使って、如何にして京で稼ぐか?』の考えが合致したのが今の織田家で無いかと。ですから信長の様々な家臣についている者の大半は尾張を離れる事に抵抗は少ない。むしろこの生活を変える事が出来る場所を求めているのかもしれません。」

私(村上義清)「幸隆とは真逆だな。」

春日虎綱「私のような境遇。生活の原資となる田畑が無い者も多いのでしょう。ただ土地が無い。土地に執着心が無いがため、織田軍に粘りが見られないのも事実であります。旗色が悪くなるや否や遁走してしまう理由がそれであります。

『信長様が生きて居さえすれば何とかなる。そのためにも自分が生き延びなければならない。信長様の下に戻らなければならない。』

これは信長にも含まれる事象であります。」

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