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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
焼討

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供給源には

私(村上義清)「美濃と尾張はどうなんだ?」

春日虎綱「まず伸び切った戦線を維持する事が最優先でありますし、そこでの兵糧は織田家が自弁しなければなりません。加えてその全て場所の安全を確実なものには出来ていません。放りっぱなしの山城を除く畿内は勿論の事。山城も比叡山の脅威を取り除いただけに過ぎません。南近江は比叡山焼討の余波が残り、本貫地の美濃も近江の入口が不穏当。伊勢と最も安全なはずの尾張も長島に出入り口を塞がれています。織田領内で今。全てを物資の供給源として活用する事が出来る所はありません。

 加えて比較的落ち着いている美濃と尾張にしましても、安定して米を供給する事が出来るとは限りません。当地の気候は温暖であり、水も豊富にあります。加えて広い平地が広がり、稲の作付けに向いている場所であると、一見思うかもしれません。しれませんが、問題が1つあります。それは水が豊富過ぎる事であります。豊富であったとしましても、適当な時期に適当な水が安定して流れていれば問題ありません。ありませんが、当地を流れる川はそうではありません。急に大量の水が流れ込んで来ます。美濃と尾張の間には広い平地が広がっています。広がっているがため大水が流れ込む度に、その流れは変化します。それも毎年。幾度となく繰り返される事になります。

 稲は作れます。しかも大量の米を収穫するだけの可能性もあります。しかしそれを実現出来る保証は全くありません。故に彼らは稲作を諦めてしまっています。ただそれでは生計を立てれませんし、皆が皆。腕っ節が強いわけでもありません。今居る土地で何とか生活する術を見つけなければなりません。そんな彼らが辿り着いたのが根が深く張り、大水に耐える事の出来る桑でありました。勿論桑を育てただけではやっていけません。その桑を生活費の工面に持って行かなければなりません。桑で活用出来るものと言えば蚕。そこから採れる絹糸。更には絹織物にする事に活路を見出したのでありました。

 とは言え絹織物としただけでは生活する事は出来ません。買っていただかなければなりません。当地は大水に悩まされる場所。必ずしも豊かな場所ではありませんでした。別の売れる場所を探さなければなりません。絹織物を買ってくれる所は何処なのか?で行き着いたのが京でありました。信長の上洛志向の根本にあるのは恐らくそれでは無いかと。絹を独占販売している比叡山にあそこまで噛み付いたのも同じ理由になるかと思われます。

 ただ比叡山をああしてしまったがために、信長は京の民を養っていく術を見つけなければならなくなってしまいました。」

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