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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
焼討

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京の弱点

春日虎綱「京に留まるには不十分な状況にあるからでありましょう。」

私(村上義清)「行く手を遮る比叡山は居ないのだぞ。」

春日虎綱「確かに。しかしそれは交通路を確保しただけでしかありません。問題となりますのが維持であります。京は大きな市場です。多くの方が居住し、お金も持っています。

 しかし京には米がありません。勿論全く存在しないわけではありません。ありませんが、それだけで京の方全てを養う事は出来ません。他の国からの輸入に頼らなければなりません。この弱点に応えるべく米の輸送で活躍して来たのが比叡山であります。ただこれに関しましては問題ありません。信長も対応する事が出来るだけの能力を有しています。加えて比叡山がああなった事により、これまで比叡山と関わりを持っていた者の中から信長の膝下に収まる者も増えて来るからであります。

 問題はここからです。京に米を供給していた場所は何処でしょうか?そうです。越前と加賀であります。先程から比叡山の収入源に当地の稲作があったと述べて来ましたが、今はそれ程ではありません。越前は朝倉。加賀に至りましては本願寺が押さえている状況にあります。ただ彼らも換金するために京に米を運ばなければなりません。そうなりますとどうしても必要となりますのが近江の輸送。本願寺につきましては幾度となく近江に拠点を設ける活動をして来ましたが、当然比叡山は許しません。朝倉は今の関係性を維持した方が得との判断の下、良好な関係を保っています。信長に対して共闘関係を結んだのもその一端であります。

 今回、信長は比叡山を亡き者にしました。その比叡山と同盟関係にあり、信長と敵対していたのが朝倉義景であります。今後、越前から米が入って来なくなる事は容易に想定される事態であります。」

私(村上義清)「しかし義景も米が換金出来なくなるのは困るであろう。」

春日虎綱「はい。朝倉にとって痛手である事は確かであります。ありますが、朝倉は別にそれが無くても領国の経営を成り立たせる事が出来ます。稲を始めとした農作物や水産物に恵まれ、鉱物資源も豊富。越後などからの荷物の集積所であり、石見や博多。更には大陸に通じる道を持ち。種子島の製造も越前では行われています。

 米を求めているのは京だけではありません。我々の麻織物も同様であります。持って行く先は他にもあります。今後、越前の産物並びに越後の青苧などの特産品が京に入る事はありません。あってもそれは長い道のりを迂回して齎される事になります。掛かった費用は価格に転嫁されます。物価は不当に高騰します。これに対し、京の民の不満は何処に向かう事になるのか?答えは1つであります。」


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