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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
焼討

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金融

 織田信長と比叡山の争いが最悪の結末を迎えた要因とは……。


春日虎綱「海の向こうから銭を持ち込む事によって、国の運営を左右する五山でしたら金融が争点になりますが、比叡山はそこまで影響力を持っているわけではありません。」

私(村上義清)「金貸しはやっているだろう?」

春日虎綱「確かに。」

私(村上義清)「それも年5割から8割の利子をつけて。」

春日虎綱「えぇ。ただ貸すのは基本。稲作農家への種籾でありますので米の収穫量を考えた場合、返す事は可能であります。不作の時につきましても、相手は稲作農家。耕作には必要不可欠でありますし、次の年以降も比叡山に収穫物をもたらす大事な生産者であります。故に耕作を続ける事。比叡山との取引を続ける事を条件に無かったものとする事も度々であります。

 尤も比叡山はうるさい存在であります。将軍様の中には比叡山内のやり手と結託しまして、比叡山のお膝下。坂本の金融機関に高金利で貸し付けた後、貸し剥がした挙句。訴訟に持ち込み勝訴を勝ち取った事を裏付けに、金融機関を破綻に追い込む荒療治をした方もいらっしゃったとか……。」

私(村上義清)「裁判するのも……。」


 将軍直属の家臣。


春日虎綱「その後、当時の将軍様は比叡山の富の源泉であります越前若狭加賀の荘園の没収を通告。執行するべく今回信長が行いました北国との通路を遮断する事により、最後の収入源である運輸も奪われる事になりました。当然いくさへと発展しました。ただその時、由緒ある数々の逸品が灰燼と帰す事を望まぬ声が広がりまして和睦を結ぶ運びとなりました。しかしここで事件が発生しました。身の安全を保障した上で呼び付けた比叡山の関係者を将軍様は亡き者にしてしまいました。当然比叡山は怒ります。容赦しません。将軍様が昔僧籍に入った寺などを焼き払うなどしまして大切な人材。貴重な品々を失う事になってしまいました。

 この出来事に対し将軍様は箝口令を敷き、漏らした者を厳罰に処す事により騒ぎの沈静化を図りました。しかし粛清された方は数知れず。身分は関係ありません。」

私(村上義清)「その時の将軍のその後は?」

春日虎綱「歯止めが利かなくなりました。意見の異なる者は皆粛清の対象となり実行に移されています。対象は守護大名から天皇様まで容赦する事はありませんでした。そのあまりの苛烈ぶりに皆は恐怖し、

『次は自分の番だ。』

と思い詰めた人物により、時の将軍様は敢え無い最期を迎えたのでありました。話が逸れました。信長が比叡山を焼き討ちした理由は金融では無いと思われます。」

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