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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
同盟崩壊

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上野守護代として

真田幸隆「上野につきましては殿から独立した立場にありますので、ここからは私。上野守護代としての仕事であります。懸案事項は3つ。1つが箕輪に鷹留。里見と雉郷の接収。2つ目が我らとのいくさに敗れ、行方知れずとなっています長野業盛と倉賀野尚行について。そして最後3つ目に来ますのが惣社に白井の長尾氏と岩櫃城であります。

 今後の北条とのいくさを考えた場合、出来る事でありましたらうちの兵を損耗させたくはありませんし、可能であれば彼らの力も借りたいものであります。惣社、白井そして岩櫃につきましては先だって交わしました取り決めを履行したいと考えています。」

私(村上義清)「輝虎との間に別の所領が入る事に問題は無いか?」

真田幸隆「今でこそ越後は落ち着いていますが、輝虎の兄の代は揉めていましたし、父に至りましては国主の立場を簒奪した人物であります。今は良いでしょう。輝虎が居ますので。ただ輝虎にも寿命があります。彼に跡取りとなる息子は居ませんし、養子を迎え入れるための娘も居ません。彼の命が尽きると同時に間違いなく越後は乱れる事になります。

 我らに越後を奪う志があれば、境目である沼田の手前まで勢力を伸ばしておく必要があります。殿には……。」

私(村上義清)「考えてはいない。」

真田幸隆「でありますので、厄介事に巻き込まれる口は少ないに越した事はありません。ただ軍事物資。玉薬につきましては信濃経由とする事により、彼らの軍事力に制限を設けます。これは対北条対策にもあります。」

私(村上義清)「今攻めている城については?」

真田幸隆「長野の主力を叩く事が出来た以上、開城を目指します。ただまだ障害は残っています。長野業盛と倉賀野尚行の行方であります。彼らが何処かの城と合流した場合、今述べて来た事の実現は困難なものとなってしまいます。ですので……。」


 真田幸隆は対象となっている惣社、白井に岩櫃。係争中の箕輪城などに文書を発給。その内容は、


1、惣社、白井の両長尾氏と岩櫃については、先に交わした文書を履行する事。

1、箕輪など係争中の城については降伏した場合、今各人が持っている権益を認める事。

1、ただし拒絶した並びに長野業盛と倉賀野尚行を匿った場合、関東管領上杉輝虎と敵対したものと見做し、上野守護代真田幸隆の手により成敗する事。


私(村上義清)「越後に逃げ込んだ場合はどうする?」

真田幸隆「そうでしたね……。殿。越後まで走っていただけますか?」


 囮改めパシリ。

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