対策
伝令「申し上げます！長野業盛に動きあり！！我が本陣に向け兵を展開しました！！！」
私（村上義清）「不気味だな……。」
真田幸隆「えぇ。相当の対策を練った上での出陣なのか？それとも力攻めに訴え出ただけなのか？」
私（村上義清）「先手をどうする？」
真田幸隆「殿が一番では無いかと？」
私（村上義清）「最も危険な場所に大将を放り込むって事？」
真田幸隆「味方も勇気付きます。」
私（村上義清）「何して来るかわからないのだぞ？」
真田幸隆「ですから……。」
迫り来る長野業盛を迎え撃つべく村上義清も出陣を下知。両者互いに躊躇する事無く正面衝突。村上側の先頭に立つのは大将村上義清。長野業盛の先兵を引き付けるだけ引き付けた村上義清隊は、徐に種子島を放ったのを皮切りに弓矢による遠隔攻撃。敵を怯ませた所で長槍隊を動かし相手を突き崩したのを確認した騎馬隊が敵陣深くに斬り込む普段から得意とする戦術を敢行。敵の旗本隊が見えて来た所に待っていたもの。それは……。
長野業盛隊からの銃撃。
長野業盛隊後方に仕込まれていた種子島隊による砲撃を受けた村上義清の騎馬隊は算を乱し後退。これを見た長野隊はこの好機を逃すまいと村上義清目掛け突進。
いくさ前の軍議。
真田幸隆「此度のいくさで最も注意しなければならないのが、長野が我らの戦術を研究している危険性であります。種子島と弓矢で敵を動揺させ、長槍で陣を乱した後騎馬隊が突っ込む。うちの戦術であります。」
私（村上義清）「何処か不備となる箇所が存在する？」
真田幸隆「はい。この戦い方が機能するために必要となる前提条件があります。それはうちが種子島と弓矢を使うと同時に敵の遠隔攻撃を制圧出来る事であります。これが成立して初めて長槍が機能し、騎馬隊も威力を発揮する事になります。
もしうちが最初に種子島と弓矢を用いる事。そして用いた後、しばらく飛び道具を出す事が出来なくなってしまう事を長野が知っていた場合。」
私（村上義清）「種子島隊と弓隊を後方に退避させる可能性もある？」
真田幸隆「はい。加えて箕輪城には大量の種子島と玉薬が備蓄されています。これは城攻めの際、大きな障壁となって立ちはだかる事になると同時に外いくさにおける運用の可能性を拡げる事にもなります。２段構えもしくは３段構えで種子島隊を用意していた場合。我らは機能不全に陥る恐れがあります。」
私（村上義清）「それを踏まえた上で、俺を先陣にするのか？」
真田幸隆「えぇ。」
私（村上義清）「えぇ。って……。」
真田幸隆「ですので……。」
