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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
甲斐の虎

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ここは持久戦でも

真田幸隆「ここまで来ましたら、もはや武田に戦意は残っていないものかと……。」

私(村上義清)「板垣甘利が敗れる形で分断され。」

真田幸隆「彼らにとって未知の兵器である種子島。その後の槍衾によってバラバラにされたところに殿自らが突っ込んだ挙句。」

私(村上義清)「突如として発生した大水により味方の兵が流されるばかりか、自らもずぶ濡れとなる。水かさは増すばかり……。」

真田幸隆「補給路は断たれ。唯一と言っても良い退路には、長年板垣信方と渡り合って来た殿が地の利を得て待ち構えている。ここは無理をせず持久戦で宜しいかと。」

私(村上義清)「もし晴信を生かすべく一塊になって突っ込んで来たら。」

真田幸隆「武田の中でここ(千曲川)の本当の流域を知っているものはおりませんので、染谷台に上らせないよう長槍で追い払いさえすれば、勝手に水が武田を……。」

私(村上義清)「……ここ(上田)で流された武田が、うち(下流域にある村上の本拠)に押し寄せることになるんだけど……。」

真田幸隆「(それは言わない約束。)ただここで失敗しますと逆にこちらが殿の本拠地に……。となります故。」

私(村上義清)「……そうなんだよね……。」


 川の勢いは衰えることなく武田に向け、容赦なく襲い掛かるも、染谷台目掛け。ずぶ濡れになりながらも突撃を試みる武田軍とそれを追い払う村上軍。


私(村上義清)「(……補給については問題ないのだが、ここを取られると晴信を生かしてしまうことになる。そうなってしまうと、こちらに次の手が残されていないばかりか……。)」


 甲斐からの援軍がやって来る。そうなると……


私(村上義清)「(もはや尼ヶ淵の要害を使うことは出来ぬし……。)」


 武田を恐れさせた矢弾も残っていない。


私(村上義清)「(諦めてくれ。頼むから諦めてくれ。)」


 めげない武田軍。お互い決め手に欠ける状況が続いたその時。尼ヶ淵のほうから鬨の声が……。


私(村上義清)「(……この声はうちか?それとも……。)」


  正面同士で激突し膠着した状態となった時、打開する切っ掛けとなるのが横ないし背後を突く兵の存在(姉川の戦いにおける徳川家康や関ヶ原における小早川秀秋。籠城戦における後詰など)。


私(村上義清)「(……板垣を破ったことは知っているのだが……。)」


 甘利虎泰と真田幸隆との決着はわかっていない。ただ……。


私(村上義清)「(……こちらに声が向かっている。と言うことは……。)」


 どちらかが勝利を修め、救援に向かっていることは確実。問題なのは……。


私(村上義清)「(真田なのか。それとも甘利なのか……。)」


 鬨の声は更に大きくなり、おぼろげに姿を現したその人物は……。

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