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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
同盟崩壊

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届いているでしょ

 武田に徳川。そして北条の3者による争奪戦に巻き込まれる危険が迫っている春日虎綱。そんな彼が自分はまだマシな方と言っている理由。それは……。


春日虎綱「最近荷の行き来が増えて居ませんか?」

私(村上義清)「国清からは『変わった事は無い。』と言われているが……。」

春日虎綱「深志や仁科様からは?」

私(村上義清)「仁科から苦情は届いていない。うちの方は……

『喜兵衛!何か変わった事でもあったか?』

……玉薬ぐらいしか運ぶ事の無かった木曾とのやり取りが増えている……。

『行き先は?』

……京まで。何でわざわざ遠回りしているんだ?」

春日虎綱「はい。津島が機能不全に陥っています。昨年、石山の本願寺が信長との対決色を鮮明にしました。これに呼応する形で長島の門徒も蜂起し、織田信興が守る城を包囲。その時、信長は比叡山付近で釘付けになっていたため信長は弟を見殺しにしてしまいました。その無念を晴らすべく信長は長島に向け兵を。それも主力中の主力を動かしました。しかしこの作戦は失敗に終わりました。信長は無事でありましたが、しんがりの二番手を請け負いました氏家卜全はそこで討ち死に。惨敗と言われても仕方の無い結果に終わってしまいました。長島は津島より更に河口に位置している場所にあります。とてもではありませんが、荷を委ねる事は出来ません。

 木曾からは、もう1つ東山道があります。美濃は信長が掌握しています。そこまでは問題ありません。しかし荷の行き先は京であります。美濃と京の間には何があるでしょう?そうです。近江であります。そこには浅井長政が居ます。その背後には越前の朝倉義景。その朝倉に浅井。そして織田との間では昨年末。和睦が結ばれています。ただそれは比叡山近辺から安全に退却するための和睦でありまして恒久的な和平を意味するものではありません。浅井の最前線。佐和山を信長が手に入れた一方、浅井も織田の最前線にある横山城を伺うなど両者の対立は今も続いています。仮に江北を通過する事が出来たとしましても京の手前には比叡山が立ち塞がっています。今は静かでありますが、信長は比叡山の権益を奪うべく活動を継続しているとか。とてもではありませんが、織田に荷を委ねる事が出来る状況にはありません。

 故に木曾は朝倉、比叡山も受け入れてくれる上杉の荷として送るべく遠回りであり、かつ費用も嵩む鳥居峠越え。姫川を下り、越後で上杉の船に乗せ換えなければならない状況に追い込まれているのであります。」

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