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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
同盟崩壊

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谷筋

 滝山城の二の丸は3つの尾根筋が集中する場所に立地。その間を通る2本の谷筋を伝っての侵入が想定されます。


私(村上義清)「二の丸の外で待ち構えるとなると、通り道の両側から砲撃を加えるのが効果的……。」

真田幸隆「しかし同じ事は氏照も考えています。恐らくでありますが、一度発射し次を発射するまでの時間を狙い、発射地点から割り出された種子島隊の殲滅並びに強行突破を図る事が想定されます。加えて谷筋は2本あります。氏照はその2本の筋を活用する事になります。どちらか一方を選択するのか?それとも2つに分けるのか?それはわかりません。そこまでの兵を割く余裕はうちにはありませんし、そこも城内であります。出来る事でありましたら氏照を城外で。それも氏照の部隊が1つにまとまっている今を狙うしかありません。」

私(村上義清)「城外に目ぼしい迎撃地点は?」

真田幸隆「無いわけではありません。ありませんが、今氏照の周りに居るのは本隊のみであります。本隊の者共が命を張るでしょうか?本体周りにいる者共は基本。自分は優秀な人材である事を自認しています。いくさの場で活躍出来ようが出来まいが自身の査定に響く事はありません。何故なら彼らの仕事はいくさで敵を倒す事ではありませんので。そんな汚れ仕事など野蛮な者共。それでしか食い扶持を稼ぐ事が出来ない奴らに押し付けてしまえば良い。後は、頭脳の違いと上司との良好な関係をチラつかせて黙らせてしまえば一丁上がり。そんな考えの者共がいざ一大事となった時、果たして氏照を守るでしょうか?」

私(村上義清)「余程嫌な事があったんだな……。」

真田幸隆「同じ事は氏政、氏照。そして氏邦にも言える事であります。先の義信とのいくさ。三増峠でもそうでありましょう。戦ったのは綱成だけであります。綱成が苦境に陥った時、彼ら3兄弟は何をしたでしょう?氏政には酌量の余地があります。間に合わなかった。と言う……。しかし残る氏照と氏邦はそうではありません。武田はまだ相模に居ました。甲斐にはまだ距離があります。しかし彼らは追い掛ける事はありませんでした。自分有利。いや勝勢にでもならない限り、いくさを避けるのでありましたら兵を伏せる必要などありません。正面から堂々と打ち破ってやりましょう。」

私(村上義清)「しかしそれだったら本当に逃げてしまうであろう?それに出来る事であれば、こちらの被害を少なくしたい。」

真田幸隆「わかりました。では二の丸から出撃するのは止めましょう。」

私(村上義清)「(城門前に北条兵が殺到しているため)他に出口は無いぞ。」

真田幸隆「いえ。御座います。」

私(村上義清)「ん!?」

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