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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
同盟崩壊

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築城術

真田幸隆「此度は北条の築城術に救われた所多々あります。」

私(村上義清)「不備があると言う事?」

真田幸隆「滝山城には不備があります。故に今後。対北条の最前線となり得る場所でありますが、徹底的に破壊しました。しかしほかはそうではありません。あまりにも優れている事が攻略の糸口になりました。」

私(村上義清)「どう言う事?」

真田幸隆「北条の城の壁は土であります。もし壁が石で覆われている。もしくは岩山を駆使した城造りをしていましたら此度の作戦は失敗に終わっていました。北条領内に、城の壁になり得る大きな石が少ないのは事実であります。しかし北条の国力でありましたら、最低でも拠点となり得る城には石垣が施されていても不思議な事ではありません。しかし本拠地の小田原含め、城の壁は土であります。何故か?北条の築城術が優れているからであります。北条の土壁は簡単に崩れる事はありません。急斜面の守るに長けた城壁であります。これまでこの壁を突き破る。落城に追い込んだ人物は居ません。上杉輝虎然り。武田義信然り。殿もその一人になる定めでありました。

『武田義信によって疲弊された所を狙ったにもかかわらず、何1つ出来ずに退却を余儀なくされた老いぼれ。』の誹りと共に……。」

私(村上義清)「お前もひとの事言えない齢だぞ。」

真田幸隆「私は(あなたと違って)聡明であります。」

私(村上義清)「(口にしなかった所が気になる……。)」

真田幸隆「私の手元には大量の玉薬があります。尤も種子島に玉を込めても壁を破る事は出来ません。その穴により、雑草を生やす事は出来るかもしれませんが。攻略には長い年月を要する事になります。」

私(村上義清)「草を刈る事が出来ないように城を囲み続けるって事?」

真田幸隆「それではあまりにも非効率であります。幸いうちにはもう1つ資源があります。それは殿であり、四郎の外いくさにおける能力であります。義信により兵を損耗していますが、氏照氏邦は多くの兵を抱えています。彼らが城の外に居ては城攻めもままなりません。彼らを追い払う。少なくとも城に押し込める必要があります。」

私(村上義清)「誇っても良いのかな?」

真田幸隆「勢力の拡大には繋がりませんが。」

私(村上義清)「輝虎と同類?」

真田幸隆「輝虎にはまだ世間との繋がりがありますので、同類とするのは失礼であります。」

私(村上義清)「一応、朝廷に参内する事が出来る地位にはあるんだけど……。」

真田幸隆「勿論、殿には感謝しています。外でのいくさで優位に立つ事が出来なければ話になりませんので。」

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