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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
プロローグ

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実際は?

 ……急に出来たたまの休みの日にちょっと出掛けるには良い風景だな。でもこの風景と幸隆の受け答えを聞く限り……。

『私はどうも天下人では無い。』

自分の身の丈を確認しないといけないな……。


私(村上義清)「ところで幸隆。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「領内の現状を聞かせてくれ。」

真田幸隆「はっ!!我が村上家は東は佐久郡から小県に埴科郡を経て、北の水内と高井の各郡にその影響力を及ぼしております。」


 今のしなの鉄道両線とJRの篠ノ井、飯山そして小海の各線が版図。……ここは史実通りに設定されていると言うことか……。


真田幸隆「その内、信濃北部の水内と高井。東部の佐久郡は他勢力との間で係争中でありますので完全に掌握することは出来ておらず半手の状況となっている地域。他勢力の領域となっているところがあります。」


 『半手』とは2つの勢力の境目となっている地域の村が、双方に対し半分ずつ納税している状況。


私(村上義清)「と言うことは、実際の版図は小県と埴科郡。」


 北信濃線と小諸以東を除くしなの鉄道線が実際の版図。


真田幸隆「はい。ただしその中の小県郡につきましては私。真田幸隆が管轄しておりますので、殿の直轄領と言えるのは埴科郡となっております。」

私(村上義清)「えっ!!それだけ?」

真田幸隆「はい。」


 本当の版図は上田よりも西の地域。今2020年の人口は10万人前後。一方、真田幸隆が管轄する小県郡は20万人前後。


私(村上義清)「小県の方が規模がでかい……。」

真田幸隆「殿の『小県のことはお前に任せた。』の一言が決め手になりまして、私も全てを殿に()けることを決意したのであります。」

私(村上義清)「武田や山内上杉では無く私を選んだのは……。」

真田幸隆「条件面が良かったからにほかありません。あのような税率で自治権を与えて頂ける所は他にはありませんからね。」

私(村上義清)「税率って……。」

真田幸隆「この戦国の世において『三公七民』などあり得ませぬし、その税率で他の勢力との防波堤になって下さるとは、皆喜んでおりまする。」


 当時は『四公六民』でも名君と呼ばれた時代。


私(村上義清)「……安全保障もしているってこと?」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「私の領地よりも豊かな其方の管轄地を。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「私の金で。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「私の手によって。」

真田幸隆「勿論。そうでなければ殿の傘下に収まる意味がありませぬ故。」

私(村上義清)「1つ質問なんだけど。」

真田幸隆「なんでしょうか。」

私(村上義清)「真田殿の管轄地が攻められた場合、私が兵を出すことは理解できる。理解できるのであるが。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「逆に私の本貫地が攻められた場合は……。」

真田幸隆「勿論、殿の軍役には従いまする。」

私(村上義清)「……本当だよね……。」

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