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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
甲斐の虎

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弱点

真田幸隆「武田晴信が山本勘助に依頼したのは内政だけではありませんでした。」

私(村上義清)「得意分野のいくさについてだな。」

真田幸隆「はい。その中で晴信が特に力を入れていたのが大陸より伝わった陣形を自分の部隊にも適用することでありました。その役目を晴信は勘助に依頼。」

私(村上義清)「待ってましたの心境だろうな。」

真田幸隆「まとめられたのがこちらになります。」


 当時は情報漏洩を取り締まる第三者機関が無い時代。


真田幸隆「これにつきまして弱点が2つあります。」

私(村上義清)「わかりやすくまとめられているように見えるが。」

真田幸隆「確かに。向こう(大陸)の文書に比べればかなり簡略化されています。実際、これを基に訓練が行われています。」

私(村上義清)「ではどこに弱点があるのか。」

真田幸隆「それはですね……。勘助が作ったこちらの文書でありますが。その全てが……勘助が耳学問で得た知識によってまとめられたものであります。」

私(村上義清)「え!それって……大陸の文書を読んでいないってこと?」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「でも晴信は読んでいるんだろ。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「見抜けなかったってこと。」

真田幸隆「正しくは勘助の上申を見た晴信が、あまりの出来栄えの良さに『どれくらいの本を習熟したんだ?』と尋ねたところ、勘助は『実はそれがし、軍学というものをきちんと学んだことはありません。』と告白しております。」

私(村上義清)「騙していたってこと?」

真田幸隆「それはありません。経歴に嘘はありませんので。それ故、今川家の仕官が叶わなかったとも言えます。」

私(村上義清)「勘助の経験に晴信が裏付けがついたとなると、むしろ厄介ではないのか。」

真田幸隆「……そうとも言えますね。」

私(村上義清)「本当に(戦っても)大丈夫なのか?」

真田幸隆「そこで2つ目の弱点であります。」

私(村上義清)「余計な心配事を増やされているようにも思うのであるが。」

真田幸隆「勘助がこれまで聞いていたことで作られました武田の陣形でありますが、この陣形はこれまで一度として実戦で使われたことはございません。」

私(村上義清)「考えてみたらそうだな。大抵、板垣と甘利の2人で以て敵を制圧して来たからな……。」

真田幸隆「こちらの戦略がうまく行きましたら、今回のいくさで初めて試されることになります。」

私(村上義清)「どんな不具合が潜んでいるかがわからない状況にあると……。」

真田幸隆「はい。」


 初回生産に翻弄された経験ありませんか?


私(村上義清)「でもそれってさ……。」

真田幸隆「なんでしょうか。」

私(村上義清)「俺が今からやろうとしていることにも同じことが言えるような気がするんだけれども。」

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