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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
甲斐の虎

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ただのマニアにあらず

私(村上義清)「その会見で勘助は更に100貫加増されたんだろ。」


 先に提示された金額と合わせて200貫。今の金額にすると年俸2400万円。


真田幸隆「晴信がもともと陣形についての造詣が深く、家中の中でその話について行くことが出来るものがいなかったところに、何が来ても答えることが出来る。それもわかりやすい言葉で。の勘助が来たわけですから。」

私(村上義清)「『求む兵法家』で探していたわけだから面接も支障なく進んだことだろうな。」

真田幸隆「加えて彼は武田家中が誰も知らない全国の情報を持っていた。」

私(村上義清)「一応、流れて来る公家とか僧侶。あとは連歌師などから話を聞いてはいるのだが。」

真田幸隆「ただ彼らは当主ないし重臣階級との繋がりはありますが、勘助の場合は最底辺での実地活動でありますので。」

私(村上義清)「今思えば『潜入』になるのかな?」

真田幸隆「本人は仕官を目指し、身を粉にして働いていたと思われますが。」

私(村上義清)「『このいくさでこれこれこう言うことを誰それがやった結果。このような結末を迎えることになりました。』……安全な場所で聞いている分には楽しいだろうな……。」

真田幸隆「ただ彼の場合は命がけでありましたけれども。まぁそんな感じで勘助は採用を。それも当初の倍の金額を勝ち取ることが出来たのでありましたが、何の実績もないものに『200貫』もの大禄ともなりますと当然の如く妬みと言うものが出て参ります。実際、誹謗中傷するものがおりましたが、晴信はその誹謗したものを改易。」

私(村上義清)「べた惚れだね。」

真田幸隆「ここまではよくある話と言えばよくある話なのでありますが、勘助の凄さはここからであります。」

私(村上義清)「板垣や甘利とは異なる形で信濃を暴れまわっているからな……。」

真田幸隆「勘助は築城に才があります。『城を築くことが出来る』と言うことは敵の城の弱点を見つけることにも才があることになります。」

私(村上義清)「どこに兵を集中させているのか……。城の水源はどこにあるのか……。」

真田幸隆「その弱点を突くことの出来る武力と土木集団を武田は持っています。」

私(村上義清)「勘助がやりたかったことの全てが武田の中にはあった。」

真田幸隆「瞬く間に9つの城を落とした勘助に対し晴信は更に100貫を加増。」


 年俸3600万円。


真田幸隆「見込み以上に活躍を続ける山本勘助に、武田晴信はかねてから考えていた構想を委ねることになりました。」

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