表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
元亀争乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

459/653

勅願寺

 織田信長。朝倉義景。双方それぞれの本拠地へ帰国。

 

春日虎綱「天皇様の勅命に比叡山も……。」

私(村上義清)「従ったのか?」

春日虎綱「いえ。」

私(村上義清)「どうしたのだ?」

春日虎綱「見て見ぬふりをしたそうであります。天皇様の裏に誰が居るのか比叡山もわかっていますし、義景にいくさを続ける意志が無い以上置いておいても仕方ありません。『比叡山領の安堵』を条件に提示されたそうでありますが、そんなもの信用出来ない事は比叡山も重々承知しています。奪いに来ているのが信長でありますので。」

私(村上義清)「でも引き下がざるを得なかった。」

春日虎綱「かつての力があれば、突っぱねたのでしょうけどね……。」


 かつての比叡山は、自らの権益が脅かされると判断するや否や自らの持つ武装組織と天皇勅願寺である地位を活用し相手を圧迫すると同時に、神の化身とも謳われる日吉社の神輿を京のど真ん中に出撃させる事により、自らの要求を実現させて来たのでありましたが……。


春日虎綱「足利義教が将軍の時、状況を一変させる出来事が発生しました。」


 元々比叡山の出身であった足利義教が将軍に就任するや、古巣の比叡山は義教を応援せず。無理難題を吹っ掛けたのでありました。くじ引きで選ばれたばかりで政権が安定していない所を狙われた義教はその要求を泣く泣く受諾。これに気を良くした比叡山はその5年後。新たな要求を義教に突きつけるも、準備万端。義教は反撃に打って出たのでありました。この5年間の間に義教はこれまで管領が握っていた司法権を取り上げ、判決文の全てを義教の意のままにする事が出来る体制を整えていたため、比叡山敗訴の判決を乱発。怒った比叡山は武力に訴え出るも関東や伊勢の叛乱の鎮圧を終え、軍備を京に集中させる事が出来た義教は比叡山の反撃を封じ込めただけに留まらず、大津の園城寺を引き入れる事により比叡山の補給路を遮断する事に成功したのでありました。


私(村上義清)「……比叡山が悪いのかな?」

春日虎綱「殿も似たような事やって来たでしょう。」

私(村上義清)「それ言う?」

春日虎綱「幕府の中にも殿のような考えの方が増えて来まして将軍義教も思う処があったのでしょう。比叡山の代表者3人との話し合いの場を持つ事にしました。ただこれまでがこれまででありましたので比叡山側は難色を示しました。」

私(村上義清)「絶対に勝てる体制で待ってた奴の招待だからな。」

春日虎綱「『そうじゃないですよ。安心していただいて問題ありませんよ。』と管領の細川持之が書状を認めて彼らに送付。これを受け、『それなら。』と重い腰を上げた3者に待っていた運命。それは……。」


 騙し討ち。


春日虎綱「この経験を持つ比叡山が、信長の要望や信長が後ろ盾になっている将軍様や関白様の調停。更には同じく信長により身の安全が保障されている天皇様の話を聞くかどうか……。」

私(村上義清)「だな。ところでそれだけ好き勝手に振舞った義教は最後。どうなったのだ?」

春日虎綱「不安に駆られた部下の手により粛清されました。殿も気をつけてくださいね。」

私(村上義清)「重々承知しております。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ