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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
元亀争乱

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フルマラソン

春日虎綱「信長が畿内を押さえている事が大きかったと思われます。信長軍は最初の川を渡るのに苦心した形成が見られます。しかし苦労したのはそこまででありまして川を渡ってから京までの道のりで三好などからによる信長軍の障害となる物は存在していません。ただ難所は残っています。1つは『闇』。時間が夜であった事であります。そしてもう1つが『飢え』であります。これら2つに対する備えが為されていた事が今回の撤退の成功に寄与したと考える事が出来ます。

 まず信長は自分よりも更に先に京までの地理に明るい者共を先に行かせています。1つは闇対策。通りの民達に、その後を通る信長及び信長軍が迷わぬよう道及び山に松明を照らさせるため。

 そしてもう1つは食糧の確保であります。こちらは通りに面した大きな蔵を持つ豊かな民に対し働き掛けが為されます。手持ちの米を炊き、供出したものの全てを後払いではありますが平素の数倍の値段で買い付けます。併せて酒に塩。馬の飼料用の合糠。勿論高値買取で用意させた上、通りを進む兵たちを激励し続けるようにするためであります。」

真田幸隆「腹を空かせている者も居るであろう。多くの物を欲しがる者に対しては?」

春日虎綱「『そのまま取らせて構わない。』と……。場合によっては衣類や手拭いに包んで持たせても良い。となっています。」

真田幸隆「……そうか。炊かれた時点で支払いが確定しているのだから、それならそれで活きるように使ったほうが得だな……。」

春日虎綱「兵は普段団体行動でありますが、撤退時は基本独りであります。道に迷う不安。途中で倒れてしまう恐怖。そして逃亡の誘惑から解放されると同時に、声援を受け続ける事により頑張らなければならない状況に置かれる事になります。

 声援を送る側にしましても、出した米に塩。お酒に飼料。そして松明の全てがお金になって帰って来ます。ただそれには1つ条件があります。信長軍が無事に帰る事が出来、今後も信長が当地を治め続ける事であります。」

真田幸隆「……そうか。後払いだったな。」

春日虎綱「もしここで撤兵に失敗。三好の復活。信長の畿内からの撤退があっては困る状況に民も置かれています。故に京へ向かう信長軍への声援も大きくなるのであります。」

真田幸隆「仮に三好が復活してしまったら、支払いの約束が反故にされた挙句信長に協力した人物として肩身の狭い思い。場合によっては……。」

春日虎綱「全員必死ですよ。」

真田幸隆「お前もそうしてるのか?」

春日虎綱「私はそこまでお金を持ってはいません。」

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