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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
元亀争乱

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寄付

 上杉輝虎に確認の使者を送る村上義清。


真田幸隆「仁科が心配してましたよ。」

私(村上義清)「運搬費用の支払いだろ?」

真田幸隆「えぇ。私や国清様。あと四郎と虎綱につきましては『我慢してくれ。』と言われれば、納得は出来ないまでも『仕方が無いか。』と言い聞かせる事が出来ないわけではありませんが、仁科につきましては経済での繋がりで成り立っていますので。」

私(村上義清)「弁済しなければならないな。」

真田幸隆「左様にございます。」


 しばらくして……。


私(村上義清)「輝虎から便りが届いたぞ。」

真田幸隆「どのような回答でありましたか?」

私(村上義清)「かいつまんで言うと『急な。それも大量の塩を事前の連絡無しに発送した事申し訳無かった。』と……。」

真田幸隆「そうなりますと掛かった費用は?」

私(村上義清)「うちの言い値で支払う事を約束してくれておる。」

真田幸隆「それは何よりであります。ところでその塩なのでありますが、義信の依頼では無かったと聞いておりますが?」

私(村上義清)「その事についても回答がある。『氏真がやったような卑怯な真似で義信を懲らしめるつもりは毛頭無い。必要とあらば、いくさの場で以て成敗する所存である。』と。」

真田幸隆「売ったわけでは?」

私(村上義清)「無い。」

真田幸隆「試供品?」

私(村上義清)「にしては多いよな。」

真田幸隆「そうですよね。」

私(村上義清)「四郎に確認したが、細かく小さな字で今後の取引を義務付けるような文言も無かった。と……。」

真田幸隆「もし義信が売って欲しいと言って来た場合は?」

私(村上義清)「確認はしていないが、青苧の時と同じになると思う。」

真田幸隆「単純に運搬費が上乗せされるだけ?」

私(村上義清)「だろうな。それに今は緊急事態であるから越後から求めておるが、平時になれば駿河からも手に入れる事が出来るようになる。そうなった場合、価格面で(越後が)負ける事は目に見えているから、輝虎は塩を使って甲斐と取引する予定は考えていないであろう。」

真田幸隆「そうなりますと単純に寄付で塩を送った事になりますか?」

私(村上義清)「原料は無尽蔵にあるからな。まぁ輝虎はそう考えては居ないと思うが、今回の件で義信は越後の経済力をまざまざと見せつけられたのでは無いのかな……。」

真田幸隆「そうなりますと義信は国力を高めるためにも……。」

私(村上義清)「駿河の直轄領化を目指す決意を固めたと思う。」

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