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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
元亀争乱

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どっち!?

 将軍から届いた手紙に、どう対処すれば良いのだろうか?と悩む村上義清。そこへ……。


春日虎綱「殿はまだ良い方ですよ。大変な目に遭っているのは彼ですよ。」

私(村上義清)「誰の事を言っているんだ?」

春日虎綱「家康ですよ。家康。彼の下にも将軍様からの手紙が届いていまして……。それも複数。」

村上国清「どう言う事でありますか?」

春日虎綱「1つは信長の添状があるもの。内容は『朝倉、浅井を討つべく信長と共に戦え!』と言ったもの。そしてもう1つが『信長を討って我(将軍様)を助けよ!』と言った内容。こちらは勿論、信長の添状は御座いません。」

私(村上義清)「あいつ。少し前に敦賀で酷い目に遭っていたよな。」


 信長と共に若狭攻めに参加した徳川家康。

「小勢力を倒す位造作も無い事。」

とついて行った家康でありましたが、突如の方針転換により越前入りが決定し困惑。とは言えそこは将軍様の御指示並びにそれよりも怖い信長からの命令のため、これに従い敦賀に入ったところで浅井長政の侵攻に直面。当の信長がとっとと逃げてしまったため自動的に殿の役目を負わなければならなくなるなど散々な思いをして遠江に辿り着いたのでありました。


春日虎綱「(殿も同じ目に遭えば良かったのでありますが……。)」

私(村上義清)「聞こえるように言ってる?抑えた低音の声って、『何か言ってるのかな?』ぐらいにしか聞き取る事が出来ないんだよな……。」

春日虎綱「はっきり申し上げたほうが宜しいのでしょうか?」

私(村上義清)「もしそうなっていたら、お前も同じ事になっていたんだからな。」

春日虎綱「聞き取る事が出来ているではありませんか。」

私(村上義清)「しかしもしあの状況になっていたらどうするかね?」

春日虎綱「仮に朝倉浅井から逃れる事が出来たとしても、退却路が無い状況にありましたからね。」

私(村上義清)「たまたま朽木が迎え入れてくれたから良かったものの、3万の兵が通って来る事がわかっていたとは言え、信長に従ってたのは……。」


 わずか10名。


春日虎綱「玉が詰んでしまいましたら、盤面にどれだけの駒があろうとも持ち駒があろうとも意味がありませんので。そんな喧騒に巻き込まれた家康でありましたが、今回将軍様から。正確には信長より北近江への出兵が指示されています。」

村上国清「信長の添状が無いもう1通には……。」

春日虎綱「『信長を討ち果たせ!!』との強い文言が踊っているそうであります。」

私(村上義清)「で家康はどうするって?」

春日虎綱「『近江には行く。』と申していました。」

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