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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
元亀争乱

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密書

 村上義清の下に一通の手紙が……。


村上国清「父上。如何なされましたか?」

私(村上義清)「いや……。こんな文書が届いてな……。」

村上国清「これは、将軍様からではありませんか!」

私(村上義清)「前、京に行った事で存在を知っていただけた。と好意的に解釈する向きもあるのではあるのだが……。」

村上国清「それは何よりであります。」

私(村上義清)「ただ問題があってな……。」

村上国清「どのような問題が?」

私(村上義清)「ここに記されている文言なんだけどさ……。」


 国清に書状を渡す村上義清。


村上国清「……これは!?」


 そこに記された内容。それは……。


村上国清「『信長を討て!』でありますか。」

私(村上義清)「そうだ。ただこの文書は正式なものでは無い。」

村上国清「信長の添状がありませんからね。」

私(村上義清)「これが信長の検閲を通るわけないから当然の事ではあるのだが。」

村上国清「将軍様はそれだけ追い詰められた状況にあるのでありますか?」

私(村上義清)「いや。京に行った感じではそれは無かった。将軍も信長が居なければ成り立たない事ぐらいは承知しているであろう。ただ……。」

村上国清「何か思い当たる節がありますか?」

私(村上義清)「将軍は、今の境遇を面白く無い。と思っているのかもしれないな。と……。

 言っても義昭は将軍。武家の棟梁にある。実際、彼の命令によって世の中を動かす事が出来ている。それだけの権威が認められている存在にある事を義昭は肌で感じている。

 それは信長も同じ事。信長が単独で出しても相手にされない事柄を、将軍の名前を使えば聞いてもらえる。実行に移す事が出来る。

 信長と将軍。本当に力が強いのはどちらであるのか?と義昭が思い始めても不思議な事は無い。」

村上国清「将軍様は武で以て信長を排除し、将軍様の考え通りに実行へと移してくれる勢力を探している?」

私(村上義清)「そう見て間違い無い。」

村上国清「朝倉と浅井の行動もその一環?」

私(村上義清)「信長を取り逃がしてしまった事は彼らにとっては誤算だと思う。ただ義昭にとっては朗報であったかもしれぬ。」

村上国清「『信長は無敵では無いぞ。諸国の勢力を結集すれば、うるさい信長を追い出す事が出来るぞ。』と……。」

私(村上義清)「それがこの手紙である。」

村上国清「しかし父上。」

私(村上義清)「どうした?」

村上国清「褒美は『将軍様の意のままに動かされる』事が条件で……。手を挙げる人なんか居ますかね?」

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