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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
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温度差

 その頃、畿内は……。


春日虎綱「音信不通となっていました松永久秀が三好家当主義継と手を結びました。」

私(村上義清)「周りに冷たくされたのかな?」

春日虎綱「一言で言えばそうなります。実権は三人衆に握られ、義継も擁立に携わりました将軍様(足利義栄)に相手にされず。三人衆は挨拶にも来ない。自分の預かり知らないところで物事が決まっていく事に我慢出来なかったのでありましょう。」

真田幸隆「我らとは大違いでありますね。」

私(村上義清)「(えっ!?)」

真田幸隆「しかしよりによって松永を頼ったのか。」

春日虎綱「当主とは言え、義継はまだ16歳でありますので……。」


 当時の成人となるのは11から16歳の間。


真田幸隆「久秀にとっては僥倖かもしれないな。」

春日虎綱「はい。これまでは朝廷と、その朝廷に推挙された将軍。並びに主君の全てが敵方でありましたので。勿論、将軍様や朝廷に歯向かう事は出来ません。出来ませんが、三好家内の争いであれば主君を擁している久秀に大義があります。とは言え、戦力差は大きく久秀の本拠地であります大和の多聞山城での防戦に追われている状況にあります。」

真田幸隆「本当は信長が将軍を連れて来る予定だったからな……。」

春日虎綱「その信長なのでありますが……。」

真田幸隆「性懲りも無く蠢き始めているのか?」

春日虎綱「はい。三好の三人衆の中にも温度差があるようであります。現在の将軍義栄様擁立に積極的でありましたのは、阿波を本拠地に構える篠原長房であります。他の2人は、今越前に居る義秋様の将軍就任に動いていた松永久秀と対抗するために長房と歩調を合わせていただけだったようでありまして……。」


 三人衆の1人。三好長逸は織田信長から京に派遣された斎藤利三と通じ、信長に取り成しを依頼。


真田幸隆「三好家が一枚岩になっていた方が良いと思うのだが。」

春日虎綱「御意。」

真田幸隆「長逸の同意を利用して信長が大兵を連れて入って来るんだぞ。」

春日虎綱「『どうせ長居する事は出来ないだろう。』と踏んでいるのでありましょう。」

真田幸隆「もし邪魔に思ったら、京に憧れる成り上がりの田舎者を嗾ければ良いと考えていると言う事か?」

春日虎綱「そうなります。」

真田幸隆「信長が上洛を考えているとなると……。義秋様の動向はどうなっている?」

春日虎綱「はい。義秋様でありますが、今は越前に落ち着いています。勿論将軍就任を諦めてはいませんので、相変わらず朝倉始め。様々な勢力に依頼をしているとの事であります。」

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