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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
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屯田

私(村上義清)「現地調達か……。ところで?」

真田幸隆「何でしょうか。」

私(村上義清)「(兵糧に欠かす事の出来ない)米はどれくらい生産しているんだ?」

真田幸隆「お米でありまするか?」

私(村上義清)「そうだ。これが無ければ始まらないであろう。」

真田幸隆「大変申し上げ難い事なのでありますが……ほぼ零です。」

私(村上義清)「……そうか。そうなると屯田を考えないといけない事になるな……。」


 屯田とは、新たな場所に入った者に開墾させつつ、いくさの時は兵として戦う制度。


私(村上義清)「しかしうちは荷役運搬といくさの兼業は多いが、農業を得意としている者はおらぬ……。(当地に詳しい)現地の方に声を掛けてみるか……。」

真田幸隆「殿。」

私(村上義清)「どうした?」

真田幸隆「殿の目論見は破綻すると思われます。」

私(村上義清)「どう言う事だ?」

真田幸隆「当地では米を育てる事は出来ません。」

私(村上義清)「水が駄目だからか?」

真田幸隆「いえ。(吾妻)渓谷の東側では作付けが行われていますので、米作りに不向きな水では必ずしもありません。」

私(村上義清)「水平を確保する事が出来る場所が少ない?」

真田幸隆「それもあります。それもありますがそれ以上に……。」

私(村上義清)「申してみよ。」

真田幸隆「はい。当地では米作りを行うには気温が低過ぎます。ここ数年。甲斐や相模ですら冷害に悩まされ、度々徳政令が出されている状況にあります故、ここ信濃同様。米に頼る施策は無謀であります。」

私(村上義清)「……そうなると稗と粟……。」

真田幸隆「ただそれらは連作には不向きでありますので、蕎麦や大豆を組み合わせる必要があります。」

私(村上義清)「自分の家の分だけを確保するのであればそれでも構わないが、駐屯が目的となると大規模な開発が必要となる。土地の選定もさることながら、少なくない予算を使わなければならなくなる。それだけの投資を回収する事がそこで出来るのかどうか……。」

真田幸隆「見返りは稗と粟でありますからね。しかもそれらは駐屯している者を養うと同時に、いくさの時のために備蓄しておかなければなりません。」

私(村上義清)「そこまでする必要ってあるか?」

真田幸隆「(農業地帯の吾妻)渓谷の東に進出すると言う事でありますか?」

私(村上義清)「そこまで行けば自活する道が開けるだろう。」

真田幸隆「確かに。」

私(村上義清)「ただそれをやってしまうと……。」

真田幸隆「輝虎と喧嘩した状態で、武田北条とのいくさにも巻き込まれる事になります。」

私(村上義清)「西側を放棄したら?」

真田幸隆「上野が武田と北条の物になるのを指を咥えて眺める事になります。」

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