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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
甲斐の虎

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着陣

 産川を渡り、千曲川の南を東へと進む武田晴信。川の向こう左前方に尼ヶ淵が見えたその時、


山本勘助「ここが渡しであります。」


 尼ヶ淵近辺は古くから街道と街道とが交差する場所。そのため人の往来も多い。そこでネックとなるのが川の存在。『人と物の流れの全てが川に沿って』では勿論ありませんので『川を渡る』必要が生じることになります。これを解消する手っ取り早い方法となりますと架橋。ただ千曲川は流れが速い上、大水の度に流路を変えてしまうため、土台となる土もろとも流失してしまう恐れがあること。加えて人と物が集まる=富が集中する場所でありますので、敵からの攻撃を防ぐ必要もあり、橋が架けられないことしばし。それでは不便でありますので、代わりに設けられたのが浅瀬を船で渡ること。『浅瀬』と言うことはそれだけ川を渡ることが容易となる場所でありますので守る必要が生じることになります。これに対応するべく村上……真田幸隆は尼ヶ淵の崖上に城を築いたとも言えます。


山本勘助「渡河を強行していたら崖と川に挟まれることになっておりました。」

武田晴信「金堀衆を使うことが出来るかもしれぬな?」

山本勘助「さすがに城の目の前では無理攻めでありましょうし、安全な手前からとなりますと、千曲川の下を掘らなければならなくなりますので。」


 尼ヶ淵を横目に更に東へと進む武田晴信。


武田晴信「しかし敵の姿が見えない……。どこで川を渡ろうか……。」

山本勘助「尼ヶ淵に城を構えている以上、いきなり川を背にするのは危険でありますので神川の東側に回り込みましょう。」


 神川の東側から千曲川を渡る武田晴信。


武田晴信「……にしても静かだ……。様子はどうだ?」

山本勘助「誰もおりませぬし、兵が伏せられている。と言うこともありませんでした。」

武田晴信「ここを渡ったらあとは城に向かって下る一方……。何もしていないわけはないはず……。もしかして……村上に戦意がない……。」

山本勘助「でしたらわざわざ城を築くことは無いでしょう。」

武田晴信「そうだよな……。」

山本勘助「渡りますか?」

武田晴信「そうだな……。ただ流石にそこからは村上が居る……。」

山本勘助「国分寺の跡ならば問題ない模様であります。」


 国分寺は8世紀。聖武天皇が仏教による国の安寧を願い全国に建立した寺。信濃において選定されたのが上田。と言うことはここが8世紀信濃の最先端を走っていた場所でありましたが栄枯盛衰。


武田晴信「義清にとって、守る必要も無い場所……。」

山本勘助「そこに陣を構えましょう。」


 神川を渡り、国分寺跡に陣を構える武田晴信。そこで今後の方針を示すべく軍議が開かれるのでありました。

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