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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
甲斐の虎

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対峙

 志賀城攻略から半年。武田晴信は再び出陣。標的に定めたのは勿論村上義清。その一報を受けた真田幸隆は各所に指示を出すのでありました。そんな最中……。


私(村上義清)「本当にこれで良かったのだろうか……。」


 話は半年前に遡り……。


真田幸隆「武田晴信が侵入することが想定される道が3つあります。1つは佐久を北上し、志賀城から西へと向かう道。そしてもう1つは諏訪湖から直接我が領内を目指す道。そして最後は小笠原領を通って西から侵入を試みるもの。以上であります。」

私(村上義清)「……この中で晴信と敵対している小笠原領を通るのは現実的ではない。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「……そうなると南か東か……。葛尾や砥石の城を用いれば、そうそう負けることはないと思うのであるが……持久戦となると国力の差が出て来ることになる。」

真田幸隆「加えて武田の金堀衆が何をしてくるかわかりませぬ。」


 志賀城陥落のきっかけを作ったのは武田の金堀衆が城の水の手を絶ったから。


私(村上義清)「……そうなると野戦。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「どこで迎撃しようか……。南からとなると千曲川もしくは産川。東からとなると神川を挟む形になるか……。」


 産川と神川は共に千曲川の支流。


私(村上義清)「……仮に晴信が南から攻めたとして、産川で対峙した場合……千曲川が背水となってしまうのか……。そうなると東からも南からも対応することの出来る千曲川と神川を防衛の拠点にした方が……。でもあそこは川を越えられるとなだらかな下り……。相手を勢いづかせることになってしまうのか……。そうなると南から来ることを信じて後ろに千曲川を背負うことになるが、産川を拠点にして、東からは砥石城……。」


 地図を見ながらひとりごとを言っている私の言葉を聞いていた幸隆は徐に口を開くのでありました。


真田幸隆「殿。」

私(村上義清)「どうした?」

真田幸隆「川は放棄いたしましょう。」

私(村上義清)「ん!?」

真田幸隆「川を挟んで敵と対峙することはやめにしましょう。」

私(村上義清)「砥石城に籠ると言うのか?」

真田幸隆「いえそうではありませぬ。砥石に籠ることはありませぬ。」

私(村上義清)「では何を頼りに守ると言うのか?」

真田幸隆「守ることは致しませぬ。武田を攻めるために川を放棄するのであります。」


 武田晴信は上原城で板垣信方と信方率いる諏訪衆らと合流。針路を北にとり、南から攻め寄せて来るのでありました。防衛拠点の1つと考えていた産川を越えた武田晴信は千曲川へ。この動きに対しこれと言った動きを見せない村上方。


私(村上義清)「……本当にこのままで良かったのであろうか……。」

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