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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
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完了

 墨俣一夜城は真実ではない。と言われていますが、ここは物語と言う事で良しなに。


春日虎綱「信長から御礼の手紙が届きました。」

私(村上義清)「内容は?」

春日虎綱「『無事に墨俣の改修を終えることが出来ました。』と記されています。」

私(村上義清)「斎藤に妨害されてその都度頓挫していたと聞いていたが……。」

春日虎綱「はい。何でも斎藤側に気付かれる前に工事を終えたそうであります。」

私(村上義清)「何か変わった動きでもあったのか?」

春日虎綱「流石に信長の管轄地を覗き見るわけにはいきませんので詳しいことはわかりません。」

私(村上義清)「現場を指揮した人物は?」

春日虎綱「挨拶には来ました。『ご迷惑をお掛けして誠にすみません。安全には特に気をつけて作業をしておりますからしばらくの間ご協力をお願いします。』と。ただ……今まで見たことが無いかたがお見えになりまして……。木下秀吉と申しておりました。」

私(村上義清)「会ってみてどうだった?」

春日虎綱「ヒトのことをこのように申して良いのかわからないのでありますが……。」

私(村上義清)「ここだけの話である。予の口の堅さをお前も存じておろう。」

春日虎綱「自ら人間拡声器と言っているではありませぬか。」

私(村上義清)「それも悪いように歪曲してな。」

春日虎綱「ただ今回は、それを超える可能性もありますね……。」

私(村上義清)「申してみよ。」

春日虎綱「はい。一言では言い表すことが難しいのではありますが、敢えて選ぶのでありましたら……『滑稽』ですかね。」

私(村上義清)「具体的には?」

春日虎綱「ツッコミどころは満載なのではありますが、容姿にまつわることでありますので触れてはいけないことでは無いかと思われまして……。ただ木下様はそれを隠すことなく堂々とされているばかりでなく、もし私でしたら『短所だ……。』と嘆くことですら『長所』として活用されているように見受けられます。」

私(村上義清)「口で言えないのなら紙と筆持って来るから書いてくれないか?」

春日虎綱「駄目ですよ。動かぬ証拠になってしまいますから。」

私(村上義清)「大丈夫大丈夫。お前の花押ついて秀吉に送ってやるからさ。」

春日虎綱「自称は良くても他人に弄られるのは許さない方もいらっしゃいますので……。ただとにかく忘れることの出来ない。見た目も話も振る舞いも。と言う方であったことだけはお伝えさせていただきます。」

私(村上義清)「しかもあの難工事を完了させてしまったとなると、実務にも長けている?」

春日虎綱「折角の縁でありますので、付き合いを続けて損は無いと思います。」

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