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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
甲斐の虎

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お金はある

私(村上義清)「我が村上と武田の違いについて教えてくれ。」

真田幸隆「はい。最も異なるものとなりますと国力の差。甲斐一国に諏訪、佐久を平定し、更に伊那谷にも進出している武田に対し我らが領しているのは信濃にある2つの郡のみ。いくさが長引けば長引くほど国力の差が物を言って来ると思われます。」

私(村上義清)「それはつまり……。」

真田幸隆「我々の敗北を意味することになります。」

私(村上義清)「では我らのほうが武田よりも勝っているものあるか。」

真田幸隆「……そうですね……。強いてあげるとするならば京との繋がり。」

私(村上義清)「朝廷との繋がりは晴信も持っていると思うが。」

真田幸隆「政治にかかわりましては共に御座います。それは否定しません。私が申したいのはそれでは無く、経済的な繋がり。武田は金の産出を地盤に領内で自給自足できる体制が整っているのに対し、我が村上家では出来ておりません。」

私(村上義清)「それでは欠点になるのではないのか。」

真田幸隆「確かに。ただ我々は麻を織物に加工する技術を持っています。それを最も大きな市場である京へと流通させる術を確保しています。しかも高値で取引されています。故に鉱山が無く、千曲川の機嫌に農産物が左右される当地でありますが、暮らしは決して貧しいものではありません。」

私(村上義清)「お金はあるんだよな……。ただお金を持っているだけでは……。」


 この時代。堺が自治都市として繁栄していました。環濠と呼ばれる天然の要害を用い敵の侵入から守っていたのでありましたが自力で。と言うわけでは必ずしもなく、三好などの助けがあって初めて自治を維持することが出来ていました。つまりそれ相応の献金をしなければなりませんでした。勿論、彼らの持つネットワークを三好などが欲していたのは言うまでもありませんが。


私(村上義清)「お金があるからと言うだけで、晴信が我々を今の地位に留まらせる必要もないか……。」


 時代も下り、豊臣秀吉の時代となると、もはや用済みとばかりに目障りな環濠は埋め立てられ。それに伴い船も停泊することが出来なくなるなど大坂の陣が終わるまで不遇な扱いを受けることになった堺。


私(村上義清)「そうなると必要となるのが軍事力。」

真田幸隆「幸い、志賀から流れて来たもの。私の上田にも志賀と繋がりがあるものがいます故、今回の晴信の仕打ちに憤りを感じております。加えて殿はいくさ上手。」


 ……先代の。だけどね……。


真田幸隆「一回のいくさでありましたら十分勝機があります。ただ先程述べましたように長引きますと国力の差が出て来ます。」


 ここで私はひとつの案を提示したのでありました。それに対し幸隆は。


真田幸隆「それでありましたら私に考えがございます。志賀のものをしばし私にお預けくださいませ。」

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