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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
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弱体化しているとは言え

春日虎綱「そして何より注意しなければならないのが今川の格であります。今川は曲がりなりにも足利将軍家の親族であります。場合によっては将軍になることも可能な家でもあります。今川に弓を引くことは自動的に将軍様を敵に回すことにもなります。攻め込まれたものに対応することについては問題ありません。信濃は将軍様から治めることを認められた場所でありますので。しかし攻め込むことは……出来ないわけではありませんが、それ相応の大義が必要となります。その大義。遠江を攻める大義を今我らは持ち合わせていません。

 仮に我らが遠江を攻めたとしましょう。当然氏真は抵抗します。抵抗すると同時に『遠江は今川領』であることを認めている足利将軍家に訴え出ることになります。その訴えは間違いなく認められます。そうなりますと我らの立場はどのようなものになるでしょうか?将軍様の秩序を蔑ろにする賊軍となり、場合によっては『朝敵』の汚名を着せられることになります。そうなりますと将軍様並びに朝廷の秩序を重んじる越後の上杉輝虎はどのように思うでしょうか?うちとの関係を見直すことになるかもしれません。場合よっては、越後への物資の出し入れが難しくなる危険性も孕んでいます。うちは越後を通じての交易無くして成り立たない国であります。加えて今、氏真は輝虎と誼を結んでいます。越後からの軍事侵攻も想定しなければならなくなるかもしれません。うちの軍事力は越後を通じてもたらされる玉薬によって支えられていると言っても過言ではありません。そこが封じ込められた瞬間。我らは破滅の道を突き進むことになります。遠江は釣り針が仕込まれた餌でしかありません。今手を出す場所ではありません。

 それでも目先の利益に走り、遠江を所望するのでありましたら我らとの縁を全て切った上で、勝手に天竜川を下って下さい。」

真田幸隆「虎綱は本当は遠江を獲得したいと思っています。人と物を動かすために信長や家康に頭を下げたいと思ってはおりません。出来る事であれば自由に使える港が欲しいと思っています。それに見合った場所とも言える掛塚湊が手に届く場所にありますし、我らの力を以てすれば獲得することは不可能ではありません。しかしそれをやってしまった後、待ち受けていることがあり自重しているのであります。私が西上野を手に入れないのと同じであります。手に入れることは出来ます。ただそこは上杉の影響下にある場所であります。手を出すことは出来ません。

 故に我らは飯富虎昌の決断を待っているのであります。」

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