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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
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このままにしておくと

私(村上義清)「他国からの新参者となると、地場で収入を得る術を持つことが出来なかった。土地を持っていなかった。耕作。それも運営に携わることが出来なかった。それ故、生きていくためにいくさ。破壊工作に手を染めるしかなかった。腕っぷし1つで収入を増やすことが出来る場を求め武田家に仕官したにもかかわらず肝心のいくさが無くなってしまった。お手伝いで関東に遠征することはあるけれども、あくまでそれは一時金を得るために過ぎない。安定した収入には繋がらない。甲斐に戻っても待遇は変わらず。それでは流石に申し訳ないと義信から領地を頂戴するも、そこは誰も手を付けていない新地。いつ水が襲い掛かって来るかわからない土地。ただでさえ扱いが難しいことに加え、彼らはこれまで本格的に耕作に携わる機会を持つことが出来なかった。辺り一面水浸し。天候も不順。ろくな作物も育たない。『徒労』の2文字が重くのしかかる日々。そんなハズでは無かった。本来であれば城持ちの大将になっていた……。今の境遇に貶めたのはいったい誰なのか?」

真田幸隆「よくわかりますね。殿は順風満帆の人生を歩んでいたと思うのですが?」


 先代の村上義清は殿様だけど、今の村上義清は……。


春日虎綱「不満の矛先は、仕官した先である武田家に向けられることになります。彼らは総じて槍働きに長けています。その中にはいくさにおける統率に明るいものもいます。加えて、甲斐の全てが水浸しになるわけではありません。当然、耕作に向いた場所も存在します。その乾いた安定した土地を領しているものは誰なのか?と言えば、何代にも渡り定住している地元の有力者と武田の支配者層であります。支配者層がだらしないが故。手間ばかりが掛かる仕事が宛がわれ、その割には実入りには結びつかない。仮に与えられたとしても、とてもでは無いが増収には結びつかない場所を褒美と称して押し付けられる。その要因を作っているのは誰なのか?主である武田義信。奴を排除すれば、奴が持っている黙っていても作物を収穫することが出来る安全で安定した土地を獲得することが出来る。加えてここ数年。まともないくさをしているのは自分たち。新参者ばかり。有力国人や支配者層の大半は惰眠を貪っているばかりである。今戦えば勝てる。と考えるものが実際に現れていても不思議ではありません。それだけ今の甲斐は身分の固定化が進んでしまっております。」

私(村上義清)「この空気を(飯富)虎昌が感じ取っている?」

春日虎綱「彼は信虎放逐を実行に移していますので。」

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