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旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
南進

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危うさ

私(村上義清)「(自分の領内なのに)鎖帷子着ないといけないのか……。」

真田幸隆「(鎖帷子でも)完全に防ぐことは出来ませんが。勿論、皆が皆に銃火器の使用を認めているわけではありません。あくまでこちら(支配者階層)優位の状況にしなければいけませんので。」

私(村上義清)「そう。そこが問題になったそうなんだよ。」

真田幸隆「(門徒が)本願寺に歯向かう?」

私(村上義清)「流石にそれは無い。もっともそれが無いのは本願寺があることが門徒にとって得であるからかもしれないのだが。加賀は今、本願寺が実効支配している国である。それを実現させるのに本願寺の本山も積極的に支援している。それは事実。その後、京における内乱の際、管領細川晴元が三好元長を倒すために用いたのが一向宗。これにも本願寺の本山は加担をしている。問題はこの後。」

真田幸隆「『俺たちの力を以てすれば、国を乗っ取ることも武力に長けた要人を駆逐することも出来る』ことに門徒が気付いてしまったのですね。」

私(村上義清)「そう。三好元長を破った門徒が役目を終え戻った各々の地元で、各々の判断で活動を始めてしまった。奈良を皮切りに摂津や河内。更には和泉にも拡大。本山の意向とは関係の無いところで。」

真田幸隆「痛し痒しですね。」

私(村上義清)「三好元長を倒すために一向宗を用いなければならない。自前ではどうすることも出来ないのが(管領の細川晴元が仕切る)幕府の惨状であったので、一向宗を抑えるためには他所の兵の力が必要。そこで目を付けたのが日蓮宗。彼らの助けを借りて京を守ったまでは良かったのだけれども、大きな顔をされては面白くない。面白くないから比叡山を動かして日蓮宗を……。」

真田幸隆「一番の元凶は……。」

私(村上義清)「それもあったのかな?洪水、飢饉に流行り病。それに家臣の叛乱と京は大混乱に陥ったそうな。」

真田幸隆「よく幕府持ちましたね。」

私(村上義清)「何でだろうな?」

真田幸隆「殿みたいな公権力を有難がる田舎者が多いからじゃないんですか?」

私(村上義清)「……そうかもしれないな。」

真田幸隆「その間、一向宗はどうしていましたか?」

私(村上義清)「山科にあった本山が破壊されても、各地の一向宗の活動が収まることは無かったそうな。そうこうしている間に、摂津の石山に新たな拠点を構えた。と……。敵はとりあえずそこを狙う。ただその石山は南以外は元々が海であった場所だそうで落とすことが出来なかった。『そろそろ終わりにしよう。』と和睦が結ばれる運びことになったそうな。」

真田幸隆「それで門徒は静かになった?」

私(村上義清)「『のかなぁ?』ぐらいだそうな。一応『王法は守ろう。』となっているらしいけど、武装を解除しているわけでは無いからね。」

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